『GANTZ』レイカや『デビルマン』美樹も…人気漫画で“死んでほしくなかったヒロインたちの散り際”3選の画像
講談社漫画文庫『新装版 デビルマン』第1巻(講談社)

 世の漫画のなかには、ヒロインが死んでしまう作品がある。ヒロインは読者からの人気も高いため、思いもよらない衝撃的な展開に「なぜこのヒロインが死ななければいけないのだろう?」と、悲しみに暮れた人も多いだろう。今回はそんな美しいヒロインたちが、儚く散った悲しい話を解説していこう。

■歪んだ片想い…『GANTZ』の一途なアイドル「下平玲花」

 奥浩哉氏による『GANTZ』(集英社)のヒロイン・下平玲花(以降レイカ)は、作中屈指の人気女性キャラだ。本業は人気グラビアアイドルであり、スリーサイズがB86、W59、H86とスタイルも抜群。

 本作は、死んだはずの人たちがマンションの一室に集められて「ガンツ」と呼ばれる黒い球体に“星人”を倒すように指示され、バトルを繰り広げていくというストーリー。

 レイカは強い性格の持ち主で、主人公・玄野計からリーダーを託されるほど皆から信頼されていた。彼女は玄野が活躍する姿を見て好きになり、積極的にデートに誘うなどアピールをするのだが、玄野はもう1人のヒロイン・小島多恵と付き合っており、その事実を知って落胆してしまう。

 しかし、なんとレイカはガンツの能力を使ってもう1人の玄野を生み出し、そのクローンである玄野に対して自身の想いを叶えようとする。念願叶って愛する男性を手に入れるレイカだったが、その時間は短かった……。

 カタストロフィ編でサイコキネシスを使用する星人と一人戦おうとする玄野を横目に、一度は逃げるも引き返すレイカ。このとき「タエちゃんともう一度会いたかッた……」と、玄野に辛辣な言葉をかけられるのだが、それでもレイカはともに戦い、結果的に星人と相討ちして死亡してしまう。

 その後、地球人にガンツの作り方を伝授した星人の手により復活。クローン玄野に「レイカレイカッ 愛してる愛してる!!」と告げられ、レイカは「ありがとう嬉しい…」「あたしも…あたしも愛してる」と想いを告げ、再度星人によって消滅させられてしまう。

 死んだ命が生き返る『GANTZ』の世界にて、自分のいびつな片想いが叶ったレイカは幸せだったのだろうか。その本心は本人のみがわかるところであろう。しかし、好きな人のクローンを作ってまでも一途にそばにいたいと想う彼女の姿には胸を打たれてしまう。もう1人のヒロイン・多恵よりも、レイカの幸せを願ったファンは多いようだった。

■『彼岸島』異形の邪鬼「坂下ユキ」

 松本光司氏による『彼岸島』シリーズ(講談社)に登場するヒロイン・坂下ユキは、本作の主人公である宮本明たちと同級生であり、地獄のような彼岸島に明の兄を探しに来た人物の1人である。ユキは明の親友である斎藤ケンと付き合っていたが、実は明にも好意を持っていた。

 作中にてケンは死んでしまい、その後『彼岸島 48日後…』にて、彼女は吸血鬼になってしまう。そして彼女は、血を飲むことを拒絶。血液を一定期間摂取しなかったために、さらに恐ろしい怪物・邪鬼に変貌してしまう。

 彼女は邪鬼使いとなった西山とともに大阪を完全に支配し、そこで明と対峙することに。激しい戦いのなか、かすかに人間であったときの記憶を残していたユキは明の名前を呼んだ。その姿を見て明は激しい悲しみに打ちひしがれる。

 邪鬼であるユキの強さに苦戦を強いられるが、明は邪鬼の体に残ったユキの人間であったときの肉体が弱点だと見抜いて斬り倒した。

 また、西山も再起不能なほどの傷を負って動けなくなっていた。明がとどめを刺そうか躊躇していると、満身創痍のユキが身を挺して西山を覆うように庇う。明は平和だったときの思い出を思い浮かべつつ、涙を流しながら最終的に二人にとどめを刺すのだった。

 ユキの死は『彼岸島』シリーズの絶望感や焦燥感をさらに深いものにし、読者が忘れられないシーンの一つとなっただろう。

  1. 1
  2. 2