アニメ『まんが日本昔ばなし』の「こぶとり爺さん」「笠地蔵」「さるかに合戦」などの昔話を収録したBlu-ray/DVDの4Kデジタルリマスター版が、2023年1月25日に発売される。同作は1975年から放送開始したテレビアニメ。日本各地に伝わる昔話をさまざまなアニメーターが映像化したもので、市原悦子と常田富士男の2人が何役もの声を使い分ける語りで、これまで多くの物語が紡がれてきた。
Blu-ray/DVDでこの先も語り継いでいきたい話ばかりだが、中にはその独特の雰囲気や暗いストーリー展開に、トラウマを抱いてしまうような恐ろしい話も……。今回は、中でも特に多くの子どもたちを恐怖におとしいれたであろう「大人になっても思い出すほどのトラウマ回」を紹介したい。
■山んばのような婆さまに追いかけられる彦べえ
まずは「三本枝のかみそり狐」。1991年に放送された話で、村はずれの「三本枝」という竹やぶに住むキツネに、彦べえという若者がだまされる話だ。
話の途中で、彦べえが赤ん坊をいろりの火に投げ込み焼死させるという衝撃シーンがあったり、キツネが化けた婆さまが包丁を持ってどこまでも彦べえを追いかけてくるという怪談さながらにドキドキする怖いシーンがある。
最終的にはこれらの奇怪な出来事が全てキツネのしわざだと分かるものの、朝、竹やぶの中で目を覚ました彦べえの髪の毛は全部むしりとられ、頭は血だらけになるという、見た目にもグロテスクな内容だ。
この話の中で特に怖いのは、頭がぐるりと回転し、ものすごい形相に変貌した婆さま(に化けたキツネ)が彦べえを追いかけてくるシーンだろう。その目はギラギラと赤や黒に色を変え、髪は乱れ、まるで山んばのような姿だ。
彦べえはキツネにだまされたこの出来事を機に「見栄をはったり強がらないと決めた」というストーリー上の教訓が一応はあるものの、彼が受けたのはキツネに化かされたというにはあまりにひどい仕打ちすぎた。