■1度見たら忘れられない姿「ザクレロ」
宇宙世紀のガンダムファンであればこの名前を聞けばすぐに容姿が思い浮かぶMAであろう「ザクレロ」。
ビグ・ザムやアッザムなど、ジオン軍の中には個性的なMAが多いが、ザクレロもまた機体カラーは黄色で、前面に顔がペイントされているというかなり異質でぶっ飛んだデザイン。正直初めてみたときは本当に戦えるのか?といった疑問が浮かんだ。
はたしてその実力はどのようなものだったか。32話冒頭で、シャアの命令を無視したデミトリー曹長が出撃して、ガンタンク・ガンダムと対峙。スピードを活かしてガンタンクを翻弄し、MAモードで出撃してきたガンダムに対してもスピード勝負を挑み、GパーツBに傷をつけてみせる。だが、すれ違いざまにガンダムの腕の部品を破壊して見せたものの、ガンダムのビームサーベルの一突きにより撃破されてしまう。
シリーズ屈指のインパクトのある見た目で満を持して登場したが、アニメ32話が開始してからたった6分で撃破されてしまった。しかも撃破後に無断で出撃したことを謝罪したマリガン少尉に対して、シャアは「構わん。私の知らなかった戦力のことなどな」と上官からの扱いも散々であった。
たった6分の出撃で地球連邦軍のMSを1機も撃破することなく散っていったザクレロ。だが、多くのガンダムファンの心を掴んで離さないのは、1度見たら忘れられない愛着の沸く個性的な見た目であったからであろう。
■瞬殺機体で際立つ主人公の天才性
ガンダムシリーズには、主役のガンダムの強さを引き立てるために登場したかのような機体が多く登場する。
ガンダムが強いことはファンならば周知の事実ではあるが、彼らのように瞬殺されてきた機体1つ1つにもドラマがある。たとえば映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場した「α・アジール」はまるで『機動戦士ガンダム』のラスボスであったジオングを彷彿とさせる脚部のないMAである。全長は100mを超えていて、最大級の大きさを誇っており、武装もエルメス、ジオング、キュベレイ、ビグ・ザムの持つ武装を全て兼ね備えているかのような豪華なものだった。
作中でも、ギュネイ・ガスの操縦するヤクト・ドーガと組んでアムロと戦うもギュネイは撃墜されα・アジールは損壊、その後ハサウェイ・ノアをかばおうとしてグレネードランチャーを損壊部分に受けてしまい撃墜された。
機体の性能は抜群に高かったが、パイロットのクェス・パラヤはまだ精神的に未熟な子どもであったために最終的に撃墜されてしまった。
瞬殺されてしまった機体でも、機体とパイロットに秘められたドラマや、ストーリーに目を向けてみることで、ガンダムシリーズを違う視点から楽しむことができる。これも1つの楽しみ方であり、子どもの頃に観たガンダムとはまた違う発見ができるはずだ。