■人を喰ったような言動で相手を翻弄…『嘘喰い』斑目貘
最後は今年実写化された人気漫画のひとつ、迫稔雄氏による『嘘喰い』(集英社)の主人公・斑目貘だ。
斑目は命を賭けた戦いを平然とやってのける天才ギャンブラーで、次々と欲の皮を突っ張らせた人間を破滅へ陥れていく。斑目がなぜここまでギャンブルに強いのかというと、鋭い洞察力と命を賭けられる度胸はもちろんのこと、巧みな話術があるからである。
『嘘喰い』というタイトル通り、彼は次々と相手を翻弄し、嘘やイカサマを見抜いて喰らい尽くしていく。
斑目に勝負を挑む者たちのほとんどは、斑目に対して“弱そう”だと勘違いし油断をする。それは、自分たちの策に彼が“引っ掛かった”と錯覚するからだ。しかし実際は、知らない間に斑目の策にハマっていて、最終的に「あんた 嘘つきだね」の決めゼリフによって敗北を喫することになる。
また、斑目は相手の用意したゲームで勝負する際には、バカっぽくておしゃべりな役を演じることも。相手の気を緩ませ、“こいつはイカサマに気付いていない”と思わせるのだ。
そんな巧みな話術を持つ斑目だが、虚弱体質であったり、じゃんけんなど運頼みの勝負においてはめっぽう弱いというギャップを持っており、それもまた、彼をより引き立たせる魅力となっているだろう。
話術が巧みなキャラたちは、見事に相手の心理を読んで裏をかくため、スカッとさせられたり、感心させられるシーンが多い。自分の得意な分野を活かして、命懸けの戦いや勝負に挑む姿は、身体能力では得られない別のカッコ良さがあると言えるだろう。