■「クモ」と呼ばれる13人の非情な盗賊集団「幻影旅団」
次は冨樫義博氏の漫画『HUNTER×HUNTER』から。同作には暗殺を生業とする「ゾルディック家」、ハンター協会の最高幹部で構成された「十二支ん」、細かいところではマフィア専属の殺し屋集団「陰獣」なども登場してきたが、今回は現在本誌で「過去編」が進行中の「幻影旅団」を取り上げたいと思う。
盗みや殺しを生業とする13人の盗賊集団である「幻影旅団」。団長のクロロ=ルシルフルを蜘蛛の頭に、団員をその脚に見立てたチーム構成で、それぞれが身体のどこかに番号つきの蜘蛛の刺青が彫っており、あのヒソカも団員のひとりだった。
いずれのメンバーもAクラスの賞金首レベルで基本凶悪。その最たるものが、クラピカの出身であるクルタ族の村を襲撃し、クルタ族特有の「緋の目」を手に入れるために行った拷問や大虐殺である。
とはいえ、クロロをはじめフェイタンやマチなど、「幻影旅団」はファンからの人気も高い組織であるのは間違いないだろう。
余談だが、同作が休載を繰り返す間にケータイ事情が大きく変わってしまい、31巻ではレオリオでさえスマホらしきものを使用。そのため、携帯電話を使用するシャルナークの能力は一体どうなってしまうのだろう……と筆者は案じていたのだが、後にスマホを所有していた様子が描かれ安心した。
■倒された仲間より「スペシャルファイティングポーズ」の心配?「ギニュー特戦隊」
最後は鳥山明氏の『ドラゴンボール』から。5人そろって1チームという「ギニュー特戦隊」の登場は当時衝撃的だった。
フリーザの配下であり、全宇宙からギニュー、ジース、リクーム、バータ、グルドの精鋭5人を集めた「ギニュー特戦隊」。それまでもフリーザ編ではザーボンにドドリアにキュイといった幹部クラスの敵たちが悟飯たちを苦しめてきたが、悟空の到着前に最後にあらわれたのが彼ら。5人そろって1チームというそれまでに無い形態の敵で、しかもいずれも強敵。フリーザたちの底の知れない組織力を見せつける登場だった。
彼らは戦う前に必ず「スペシャルファイティングポーズ」を決めるが、グルドたちが倒されギニューが何より案じたのは、5人で完成する「スペシャルファイティングポーズ」について。その後、生き残ったジースと出撃前にポーズをするも2人では決まらず、そこで初めて仲間が倒されたことに激怒したのである。
その実力の一方でギャグ面も強いのが彼らの特徴だが、かっこよさは作中随一だった。歴代の『ジャンプ漫画』でもトップクラスに人気の高い「戦闘集団」といっても間違いはないだろう。
今回『ジャンプ』にテーマを絞って振り返ったが、『鋼の錬金術師』の「アメストリス軍」や「ウロボロス」、『犬夜叉』の「七人隊」、『うえきの法則』の「ロベルト十団」など、まだまだ多くの「戦闘集団」が存在する。
私見だが、それぞれが尖った個性をもちながらも「集団」という枠組みに所属することで、読者がまるでカードゲームのように楽しめる点も魅力のひとつかもしれない。次にどんな個性的な「戦闘集団」が登場するのか楽しみでならない。