■『天空の城ラピュタ』ドーラも？
また宮崎駿監督によるスタジオジブリ作品『天空の城ラピュタ』のドーラもこれに該当するキャラではないだろうか。数年に一度、日本テレビ系『金曜ロードショー』にて放送される同作。２０２２年８月にも１８回目となる放送が行われ、平均世帯視聴率１２.６％（ビデオリサーチ調べ、関東地区）を記録したばかりだ。
最初こそシータの飛行石を狙う悪党として登場するドーラだが、ムスカたちが飛行石を狙うことで状況は一変。ドーラは軍人を敵に回したことでパズーに力を貸すことになった。ドーラ率いる空中海賊の一味は、誰もが明るくかわいらしく、どんな状況でも命を張るような男気を持つ者ばかり。そんなドーラ一家に出会ったことでパズーとシータも変わっていく。
その頼もしさだけでなく、悪党であっても関係なしに心を開いてしまうパズーとシータの純粋性が、ドーラ一家が仲間になることでより強調されている。ドーラの船の中でのシーンや、ラピュタ城でパズーがドーラから武器を貸してもらうシーンなど、今にも目に浮かぶ名場面ばかりだ。
■極悪キャラだったベジータの予想外の人生
最後は鳥山明氏による『ドラゴンボール』。天津飯にピッコロなど、同作では「味方になる敵」が次々と増えていったが、その中でもベジータがやはり外せない。
初登場時は残虐そのもので、悟空の仲間たちが次々と死んでいく姿を楽しそうに眺めていたり、仲間であるラディッツを生き返らせなかったり、ナッパを用済みだと殺してしまったりと、まさに極悪非道だったベジータ。そんな彼が、悟空との戦いに敗れたことで一度退却し、ドラゴンボールを探してナメック星を探索する途中、フリーザに対抗するために悟飯やクリリンと共闘することになる。あくまでも一時的な協力という形ではあったが、明らかに格上の戦士であるベジータが味方になるという流れは、まったく予想外な展開だった。
そしてフリーザ編の後は悟空をライバルとして地球で穏やかな日々を過ごすことになったベジータ。地球人と暮らすことでベジータの心は浄化され、以前のように悪意をむき出しにするキャラではなく、むしろ地球や家族を守るために戦おうという気構えになっていたから驚きである。
ブウ編では一度、魔導師バビディの洗脳を自ら受け入れ悟空と戦う道を選ぶが、最後はブルマやトランクスを守るため、生き返ることができないと知っていながらブウに立ち向かった。トランクスに「ママを大切にしろよ…」と伝えるベジータの最期。初登場時のベジータから想像できた読者は誰もいなかったはずだ。
この他にも数えきれないほど多数描かれてきた、味方についてくれてうれしかったキャラたち。自らを悪と認めつつ主人公たちのために活躍する様は、見ていて思わず応援したくなるから不思議である。
ツイート
シェア
LINEで送る
