褒めてるの? けなしてるの?『ドラえもん』のび太への愛ゆえに“かなり手厳しい毒舌セリフ”3選の画像
てんとう虫コミックス『ドラえもん』(小学館)第1巻

 子どもから大人まで親子世代で楽しめる、藤子・F・不二雄氏の国民的漫画『ドラえもん』。
 読者に勇気と希望を与えてくれる『ドラえもん』だが、実は原作漫画では「そこまで言っちゃう?」とツッコみたくなるようなドラえもんの毒舌セリフがいくつかある。今回は、意外にものび太に手厳しいドラえもんの毒舌セリフを選んでみた。

■一言多いドラえもん…褒められているのに腹が立つのび太

 コミックス12巻に登場する「けん銃王コンテスト」では、のび太の意外な特技である「射撃」の腕前が描かれている。

 おもちゃの拳銃で次々と的を打ち抜くのび太の腕前に、思わず「すごいな、百発百中じゃないか!!」と、褒めるドラえもん。しかしすかさず「だれでも何かとりえがあるもんだねえ。こういうくだらないことだと、きみはじつにうまい。」と、褒めているのかけなしているのかよくわからないセリフを言うのだ。実際、のび太も「じつにはらのたつほめ方だなあ」と怒っていた。

 射撃の腕前を活かせる場面がないと嘆くのび太に、ドラえもんはひみつ道具の「空気ピストル」を出す。これは指先に液を塗って乾かしてから「バン」と言うだけで“空気のかたまり”が放出されるというもの。打たれた相手は気絶するが、傷つくことはない。

 さっそくのび太は「空気ピストル」を使った「けん銃コンテスト」を友達たちに提案。みんなで決闘して最後に1人残った人が勝ちというルールだったのだが、のび太はここぞとばかりに腕前を発揮し、次々と命中させていく。使える弾をすべて使い切ってからも機転を利かせ、晴れて「けん銃王」となった。

 “みんな見直してくれた”と言うのび太に「それはよかったね」と喜び、笑顔のドラえもん。しかし、そのあと「晩ごはんまだ?」とママに向かって話しかけて気絶させてしまったのび太に、「バンごはんなんていうからだ」と、説教をするのだが。

 褒めては落とすドラえもん。これこそアメとムチなのか……?

■ドラえもんの毒舌のおかげでストーリーが大きく動いた

 次に紹介するのは、コミックス24巻「ガンファイターのび太」から。

 ドラえもんの出したウエスタンゲームで、世界最高得点を叩き出したのび太。

 ドラえもんは「きみは射撃とあやとりの天才だ」と素直に褒めると同時に、「じつにふしぎだ! ほかになんのとりえもない。頭も悪い、運動もだめ、のろまでぐずで…」と永遠に毒舌を吐きまくる。のび太も「もういいよ」と止めるほどだった。

 さらに、“もしも西部劇時代のアメリカに生まれていたら拳銃王として歴史に残る活躍をしたはずだ”と言うのび太に対し、「そうかもな」「でもわかんないよ。きみは、おくびょうだから にげるか、気絶するか……」と、笑いながら明らかにバカにした態度で部屋を出て行ったりもしている。

 ここでのび太は自分の腕がどんなものか試したくなり、ドラえもんに内緒でタイムマシンに乗って、1880年ぐらいのアメリカ西部の町へ向かう。

 それに気付いたドラえもんは追いかけようとするが、何年何月何日のどこの国へ行ったかもわからない。そもそもタイムマシンがないため、追いかけることすらできず、困り果てる羽目に。

 一方、のび太が着いた町では悪者が町を支配しようと暴れまわっていた。ここでのび太は自慢の射撃の腕で悪者を倒し、一躍町の有名人になる。

 最終的にのび太は、ドラえもんの話を聞きつけて助けに来たドラミちゃんの手を借り、仕返しにやってきた大勢の悪者を眠らせ、町に平和を取り戻すのだった。

 それにしても、なぜドラえもんがあんなふうに毒舌を吐いたのかは謎だ。しかし、そのおかげで助かった町があったことも、のび太が大活躍をしたことも事実。良くも悪くも、ドラえもんの毒舌のおかげでこのストーリーが生まれたと言っても過言ではないだろう。結果オーライといったところか。

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