■対照的な2人の心底があらわに…『越前リョーマVS真田弦一郎』

 最後に紹介するのは、関東大会決勝戦の青学VS立海戦、越前リョーマVS真田弦一郎の試合だ。

 生真面目で古風、厳格な真田に対し、一言で言えばクールで飄々とした性格の越前。しかし、この試合では越前の湧き上がる闘志を見た。

 試合が始まりリョーマは“無我の境地”の状態になるのだが、真田の必殺技“風林火山”が発動し、ねじ伏せられてしまう。しかし、越前はだんだんと風林火山を攻略し始めていくのだ。

 この試合中、越前は「俺は…あんたを倒して全国へ行く」と熱いセリフを吐く。はじめはクールに自分の勝ちだけを考えていたような節がある越前が、団体戦でチームを背負って戦う姿に違う印象を受けたファンも多いだろう。彼の秘めたる情熱にカッコ良さを感じたシーンだ。

 そして、対する真田も部長の幸村と三連覇の約束を背負って戦っていた。積み上げてきた努力や王者としてのプライド、余裕のある佇まいや試合への向き合い方はまさに「男前」で、対照的な2人の心底があらわになった名試合だったと思う。

 

 そのほかにも、乾VS柳や手塚VS跡部など、片方あるいは両者ともに男前すぎると感じる試合は多くある。現在も続く『新テニスの王子様』でも、スポーツマンシップを感じさせる男前すぎる試合がどんなふうに描かれるのか見届けたい。

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