『テニスの王子様』は『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて1999年から2008年まで連載されていた、許斐剛氏によるテニス漫画。現在は『ジャンプSQ.』にて、続編『新テニスの王子様』が絶賛連載中だ。
本作は女性人気が高いことで知られているが、実は男性人気もある。その理由は、やはりキャラたちが繰り広げる男性でも思わず惚れてしまうような男前な試合があるからだろう。そこでこの記事では、さまざまな意味で「男前過ぎた試合」について紹介していきたい。
※以下には、コミック『テニスの王子様』の一部内容が含まれています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、気になる方はご注意ください。
■かつてのライバル…さまざまな想いがぶつかり合った『千歳千里VS橘桔平』
まずは、全国大会の準々決勝戦、四天宝寺VS不動峰から千歳千里VS橘桔平の試合を。2人は昔、熊本で同じ中学校のテニス部に所属しており、ライバルであり親友だった。
しかし、橘が千歳の右目を負傷させてしまい視力が低下したことがきっかけで、千歳はテニス部を退部してしまう。橘も自責の念に駆られ、一時テニスから離れていたのだが、千歳が大阪でテニスをまた始めたことを知り、不動峰でテニスを再開。そうして、この試合が実現した。
序盤、千歳のボールをわざと右目に受けた橘は「けじめたい!」と言って笑う。そして、橘の“あばれ獅子”と千歳の“神隠し”、止まったままの2人の想いが激突する熱き戦いが続いていく。
やがて、あと1ポイント決めれば勝敗が決する状況に千歳は橘を追い詰めるも、橘はかつて二人が対戦したときに見せた技、“あばれ球”を炸裂。それに対して間一髪、千歳は打ち返して勝利するのだった。
最後は男らしく握手で試合を終えた二人だったが、試合後に千歳は「桔平のヤツ 一球たりとも… 俺の右目ん死角左サイドに打たんかった」と明かしていた。実はまだ、彼の右目の視力はあまり戻っていなかったのだ。だからこそ、最後の“あばれ球”を返せたということらしい。
どちらにせよ、“けじめ”と言いつつ自ら親友と同じ怪我を負ったこと、千歳の死角へと打球を返さなかったこと……男前すぎるぞ橘。また、千歳も“お前と戦うことで無我の扉が開く”と、この決戦を待っていた様子を見せていたが、そんな想いからも熱い男らしさを感じた名試合だったと思う。
■真っ向勝負にファンも動揺!? 渾身のサーブが勝敗を決した『河村隆VS石田銀』
次は全国大会準決勝戦で繰り広げられた、青学VS四天宝寺での河村隆VS石田銀の試合を紹介したい。
緊迫した空気のなか、パワー勝負が始まった。河村も石田も、パワー系の必殺技“波動球”を使うキャラなのだが、石田は「ワシの波動球は 百八式まであるぞ」と、自身の波動球には何段階もの力が秘められていることを明かした。
それでも河村は、波動球勝負を真っ向から受ける。しかし、石田は波動球を無効化できるテクニックをも持っており、河村は太刀打ちできない。
そうして、河村はあと1ポイントとられると負けてしまう状況に。激戦でボロボロになっていたが、せめて1ポイントでも奪いたいと想いを込めてサーブを放った。
このとき、意識が朦朧としていたこともあってか、サーブ時の打点がガット上ではなくラケットの先端になりボールの軌道にブレが生まれ、この球は石田も無効化できない特殊な球となった。
最終的に、この球を受けた石田は利き腕骨折という診断を受け試合を棄権。河村の勝利で決着がついた。
思わぬ結末を迎えたこの勝負。好き嫌いが別れるかもしれないが、無謀にも思えるまっすぐな河村の熱意が神を味方にしたのかもしれない。頭脳戦、テクニック戦、ギャグ戦とさまざまな試合が繰り広げられる本作だが、熱意を感じる「男前な試合」というと、この一戦を思い浮かべる方も多いのではないだろうか。