■他人を弄ぶためだけに出てきた男?
『機動戦士Zガンダム』のラスボスであるパプテマス・シロッコは、作中でカミーユに指摘されているように、裏で人を操り戦争をおもちゃにする悪党と言える。
宇宙世紀でもトップクラスのニュータイプ能力とMS操縦技術を持ち、ジ・Oの開発を行う知識もあるシロッコ。そのうえ、他人を惹きつけるカリスマ性も併せ持つ、超ハイスペック人間だ。
作中では真の目的が分かりにくいシロッコだが、恐らくはグリプス戦役を収めた後、女性による世界統治を狙っていたのだろう。そのため、女性のサラやレコアを配下に置いている。
そう聞くと、女性を尊重する紳士的な印象を受けるかもしれないが、実際のシロッコの動きは真逆に感じる。自身の魅力で彼女たちを篭絡し、汚れ役を任せる一方で肝心のティターンズ乗っ取りなどは自分で行っている。
意識的に異性を惹きつけ自分の益のために動かす様は、シンプルに邪悪な男のように思えてならない。
最終決戦でも、思想は語るものの具体的なプランはなさそうな当たり、本当に自分の能力を思う存分発揮したいがために表舞台に出てきただけのようにも思える。結局「いつもいつも、脇から見ているだけで人を弄んで」というカミーユの指摘が、シロッコの本質ではないだろうか。
■“戦犯”呼ばわりをされがちなシリーズ屈指の天然キャラ
他のキャラと並べて「クズ」とするのは少しかわいそうだが『∀ガンダム』のポゥ・エイジはファンの間で“戦犯”と言われるキャラだ。
ポゥは物語冒頭で、市民軍・ディアナカウンターの一員として地球降下部隊に参加した女性。決して攻撃してはならないと指示を受けていたが、地球のミリシャの攻撃を受けて激昂してしまい、乗っていたウォドムのビーム砲を発射してしまう。
そして結果的に、この攻撃がミリシャ対ディアナカウンターの開戦の狼煙となってしまったのだからどうしようもない。そしてこのビーム砲により「∀ガンダム」が起動してしまい、序盤の闘いを激化させている。
その後もポゥは再三にわたり感情的になり、そのたび作戦の失敗を繰り返して挙げ句には女王・ディアナに反旗を翻している。
しかも、それらの行いのほとんどが衝動的だったり上官のフィルにそそのかされたりで本人に悪意が無い。「クズ」というよりは、完全にズレている「天然」キャラと見るのが正しいかもしれない。
ネーナのようなド直球のタイプもいれば、シロッコやポゥのような、周囲にいると嫌だなぁ……とリアルに思えるキャラもいる。あなたが思う『ガンダム』シリーズのクズキャラは誰だろうか。