注目作がズラリとそろった2022年の秋アニメ。この前代未聞の豊作ラッシュに眠れない夜を過ごしている人も多いだろう。ガンダムシリーズの最新テレビシリーズ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』や、36年ぶりのアニメ化となった『うる星やつら』など女性主人公の人気作も多い今期。だが、有名作に紛れてあまり話題に挙がらない「女性キャラ」が魅力的なもったいないアニメもまだまだあり、YouTubeのコメント欄などを見ると「覇権になってもおかしくない」という声も挙がっている。
そこで今回は今期放送のアニメから、筆者が特に「女性キャラ」に魅力を感じた作品を紹介したい。
■『けいおん!』に続くヒット作になる?
まずはTOKYO MXほかで毎週土曜の深夜に放送の『ぼっち・ざ・ろっく!』。原作は『まんがタイムきららMAX』(芳文社)で連載中のはまじあき氏による4コマ漫画で、『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』『明日ちゃんのセーラー服』『その着せ替え人形は恋をする』などハイクオリティーのアニメーション作品を数々生み出した「Clover Works」が手がけている。
そんな同作の主人公は、動画投稿サイトにコツコツギタープレイ動画をアップしていた「ギターヒーロー」こと後藤ひとり。彼女は超のつくほどの人見知りでコミュ障。だがひょんなことから「結束バンド」というバンドを組むことになって……という高校生ガールズバンド作品だ。
女の子たちがバンドを組むアニメ作品といえば、10年以上前に大ヒットをとばした『けいおん!』が思い出されるが、今作が令和版『けいおん!』のように覇権をとれるか個人的に期待が高まっている。
最初は主人公・ひとりのあまりにもな他力本願さにイラつく場面もあったが、「結束バンド」のメンバーがそろい、バンドとして一歩ずつステップアップしていくごとに、ひとりの成長が見られて安心して楽しめるようになってきた。
また、数話ごとにED曲が変わる演出も毎週の大きな楽しみになっている。歌モノアニメは楽曲の出来がその作品の質に大きく関わってくるので、良曲をこれからも生み出していってもらいたい。
今まで見ていなかったという人も、まだまだ追いつける話数。敬遠せず、まずは曲からでもチェックしてもらいたい。
■脳がバグってしまう不思議なメイドバトルアニメ
続いてはCygamesとP.A.WORKSのタッグで贈るオリジナルアニメ『アキバ冥途戦争』。このタイトルから“メイドもの”なのは分かってはいたが、蓋を開けるとそのメイドもただ事ではなかった。
OPこそ「萌え萌えキュン」を歌っているが、実際は今期の他バトルアニメ作品に引けを取らないほどに血まみれバトルアクションが待ち構えていた。あまりの唐突さとメイドとの落差に自分は何を見せられているのか……と困惑しそうになるが、その違和感が癖になってしまうのが同作。
メイドたちが当たり前に抗争を行う世界。裏切り、出し抜き、拉致監禁・拷問と中々に内容はえげつない。やっていることはほぼ極道だ。だがそこに可愛くてキャラの濃いメイドさんがいることで絵面がポップになり、自然と受け入れ体勢ができてしまう。
脳がバグってしまう不可思議痛快作品。今期の隠れ覇権を握っているので、だまされたと思って一度見てもらいたい。