■「ひでぶっ‼」「あべし‼」

 定番の“やられ声”である「ひでぶっ‼」。初期の敵であるシンの部下・ハートの最期の言葉だ。先述のジャギ様と同様「ハート様」と呼ばれて親しまれている。
脂肪におおわれているため攻撃が届かず、ケンシロウを初めて苦戦させた敵だが、最後は肉をかきわけた隙間から秘孔を突かれて爆死した。

 一方「あべし‼」のほうは完全なるモブキャラの断末魔だ。元プロボクサーであることを散々ひけらかしてケンシロウを挑発し、全身バキバキに砕かれて死んだ。

■「退かぬ、媚びぬ、省みぬ‼」

「愛ゆえに人は苦しまねばならぬ‼」「愛ゆえに人は悲しまねばならぬ‼」というセリフも有名な、南斗鳳凰拳の伝承者・サウザー。一子相伝の拳を継承するため、育ての親であり敬愛する師でもあったオウガイを殺さねばならなかった過去を持つ。その苦しみや悲しみに耐えかねて野望へと走り、「聖帝」と名乗って世界の最高権力者を目論むに至った。

 残虐なやり方で民衆を支配していたサウザーを止めるべく戦ったケンシロウは、苦戦しながらもサウザーの強さの秘密を見破り、逆に追い詰めていく。それでも負けを認めないサウザーのセリフが、「ひ…退かぬ‼」「媚びぬ省みぬ‼」「帝王に逃走はないのだ――‼」だ。

 ただ己の道を突き進む気迫だけでなく、もうあとには退けない者の悲しさも漂う言葉だ。

■「わが生涯に一片の悔いなし‼」

 このセリフを抜きにして『北斗の拳』を語ることはできないだろう。北斗4兄弟の長兄でありケンシロウの宿敵、ラオウの最期の言葉だ。

 彼は圧倒的な強さを持ちながらも、そのあまりに強すぎる剛気を理由に、北斗神拳伝承者に選ばれることはなかった。その後は世紀末覇者「拳王」を名乗って世界を支配していたが、ケンシロウとの戦いに敗れ、自ら秘孔を突いて絶命した。その死の際、仁王立ちで右手を高く掲げて「わが生涯に一片の悔いなし‼」と叫ぶのである。

 野望ついえてなお最期にこの言葉。そんな生き方ができれば、最高の人生だろう。

 

 日常では割と気軽に使うことが多いセリフだが、こうして見ると、どれもキャラクターの生きざまや性質がよく表れている。それを噛みしめながらこれらの名言を使ってみると、気分もさらにアガること間違いなしだ。そして願わくば、最期にはラオウの言葉で生涯を閉じたいものだ。

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