■お茶目な悪役軍団から最新版ヒロインに大抜擢!?『ドラゴンボール』ピラフ一味

 バトル漫画では主人公が強くなるたび、それを打ち負かす新たな悪役が次々と登場するものだが、『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載された『ドラゴンボール』にも、主人公・孫悟空に立ちはだかる数多くの名悪役たちが登場した。

 そんな悟空の幼少時代からシリーズ最新作までたびたび登場する悪役こそ、世界征服のためにドラゴンボールを追い求めるピラフ一味だ。ピラフ、シュウ(初期はソバ)、マイの三人組で、ドラゴンボールを奪おうとあの手この手で暗躍する。

 しかし実際はドジばかりで成果が上がらず、どこかギャグテイストの強めな小悪党として登場することが多い三人。仲良く寝泊まりしていたり、カードゲームをしているほっこりする場面ばかりで、強烈な悪事を働いたシーンは少ない。

 だが一方で、ピッコロ大魔王を蘇らせたり、アニメ『ドラゴンボールGT』で悟空が若返るきっかけを作ってしまうなど、要所要所で作品を大きく動かす引き金となっているのも事実だ。

 漫画連載初期から登場する彼らだが、なんとその後の劇場版『ドラゴンボールZ 神と神』にはドラゴンボール集めに成功して若返った子どもの姿で登場していたり、アニメ『ドラゴンボール超』ではメンバーの一人・マイが未来のトランクスの相手としてヒロインに抜擢されたりもしている。

 圧倒的戦闘力を持つキャラクターたちが入り乱れるなかで、実はひそかに登場し続け、株を上げていたピラフ一味。意外な活躍を遂げた悪役キャラクターである。

 

 悪役といってもその動機や背景はさまざまだが、目的のために不器用ながらも懸命に奮闘する姿は、敵でありながらどこか微笑ましくなってしまうものだ。根っからの悪人ではなく、どこか純朴な心を忘れていないその姿が、読者、視聴者の心を強く惹きつけているのだろう。これもまた、一種の「ギャップ」としてファンを魅了する、悪役キャラクターならではの個性なのかもしれない。

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