■映画化で話題となった『カノ嘘』は、嘘の恋愛から始まるストーリー

 少女漫画に多く見られる「嘘」から始まる物語。2013年に佐藤健主演で映画化もされ、日本や韓国でドラマ化もされた青木琴美氏による漫画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』もそのひとつだろう。

 同作は、人気バンドの元メンバーで天才クリエイターの小笠原秋が、たまたま知り合った女子高生・小枝理子になかばヤケになった状態で一目ぼれしたと嘘をつき、自分の正体を隠したままつき合い始めるところから物語が始まる。嘘から始まった恋愛が、本作のテーマである音楽を通して複雑に絡み合っていく。

 同作も恋愛だけがテーマではなく、音楽業界の闇や、才能と自身の限界に葛藤する様子などがウケて大ヒット。抱いた夢を前に限界を感じ、諦めたくても諦められない様子には胸が締めつけられる思いだ。

 このほかにも、とある事情から主人公が性別を偽って学生生活を過ごすこととなる中条比紗也氏の『花ざかりの君たちへ』や葉鳥ビスコ氏の『桜蘭高校ホスト部』も、嘘から始まる物語といっていいだろう。両者はコメディ要素も多く、特に『花ざかりの君たちへ』は「イケメン・パラダイス」という副題までついて2007年、2011年にドラマ化。旬の俳優ばかりで構成されたイケメンだらけのドラマ版を、毎週テレビにかじりつくように見ていたという人も多いだろう。

 物語の初めの「嘘」がどう転んでいくかはその漫画次第ではあるが、その嘘がキーとなって物語の盛り上げに大きく貢献しているということは間違いなさそうだ。

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