■狂気的な戦いぶりにゾクリ…『ソウルイーター』クロナ
続いて紹介するのは、『ソウルイーター』のクロナ。クロナは敵サイドの人間であり、蛇の魔女・メデューサの命令にしたがって主人公のマカたちの前に立ちふさがる。その身体には“黒血”と呼ばれる特別な血液が流れているのだが、この血はクロナの身体能力を増強するほか、それ自体が武器として機能する。
登場したばかりの頃からクロナは、自身の血飛沫から針を突き出したり、リストカットした後に腕を振って血を飛び道具のように使ったりと、さまざまな技を使用していた。さらに物語が進み強くなるたび、ますます凶悪でおぞましい技を披露するように。
基本的には弱気で暗い性格のクロナだが、その内側には狂気を秘めており、いったんスイッチが入ると止まらなくなってしまう。その性格も相まって、敵から傷を負わされるどころか自傷行為で血を出し武器として使う姿には、かなりダークな雰囲気が感じ取れる。
■使用頻度はそれほど高くないが…『犬夜叉』犬夜叉
主人公が血を操る技を使用する珍しい例としては、『犬夜叉』の犬夜叉が挙げられる。彼はさまざまな技を使いこなすが、そのなかのひとつに「飛刃血爪」というものがあるのだ。
これは爪についた自分の血を妖力で刃にして、それを放つという技。負傷による出血が多いとき、敵が油断している隙を突いての奇襲に使える。
しかしこの技は犬夜叉が負傷していなければ使えないうえ、それほど威力も高くない。そのため作中では、不意打ちや目くらまし程度に使用されることがほとんどである。あくまでサブ技のようなものであるため、残念ながら使用頻度もだんだん減っていってしまったようだ。
こうして振り返ってみると、血を操る能力というのは“悪魔”や“鬼”と結びつけられていたり、敵サイドの人間が使っていたりと、やはりダークな要素が強調されているように思う。
たしかにこの能力は負傷を前提としており、場合によっては自分を傷つけて血を出す必要もあるため、あまり真っ当なものには思えない。悪魔のパワーや鬼にされてしまった禰󠄀豆子のような“何か特別な事情”がない限り、主人公サイドの人間がメインで使用することが少ないのもそのせいだろう。
しかし、そのダークさに中二心をくすぐられてしまうのもまた事実。いろいろな意味で特異すぎる彼らの戦いぶりから目が離せない。