■17歳の言葉とは思えない大人びた男女観
「知りませんよ。傷を舐めあうような男と女なんて」
第18話「とらわれたミライ」で、初めてティターンズの強化人間フォウ・ムラサメと出会ったカミーユは、こんなセリフを吐いている。
かつて一年戦争で活躍したアムロ・レイを英雄視していたカミーユ。しかし、アムロの煮え切らない立ち振る舞いや、思い描いていたアムロ像とのギャップに少年ながら、いら立ちを抱えていた。
そこへ初対面のフォウがアムロを気にするようなセリフを言ったのだから、嫌味の一つも吐きたくなったのだろう。作中で描かれているカミーユの大人に対する嫌悪感がよく表れたセリフだ。
とはいえ、カミーユの年齢が17歳であることを考えると、あまりにも大人びた言い回しではないだろうか。同年代でこのセリフが出てくる男子はそうはいないはずだ。そういった意味でも、このセリフはカミーユらしい名言であり、迷言でもあると言っていい。
ガンダムシリーズには登場キャラクターたちの「名言」が星の数ほど存在している。原作や脚本、監督を務める富野由悠季氏の『富野節』と呼ばれる独特な言い回し。戦争のリアリティーを追求した世界観でキャラクターが発する言葉。それらは作品の内容以上に視聴者の記憶に刻まれることが多々ある。
今回スポットを当てたカミーユも実に多くの名セリフを残している。クスッと笑ってしまうものから、終盤のシリアスなものまで、そのすべてに彼の生きざまが表れており、カミーユが“愛されるワケ”が詰まっている。カミーユの誕生日に、彼の心情とセリフを照らし合わせながら『機動戦士Zガンダム』を見返してみてはいかがだろうか。