■世界一の剣豪ミホークに“強き者”と言わせるほどの信念
最後に紹介するのは、海上レストラン・バラティエで“鷹の目のミホーク”と戦ったときのエピソードを。世界最強の剣豪として名を馳せるミホークとの初対面で起こったドラマは、ゾロを語るうえではやはり外せない。
ゾロの勝負を受けて立ったミホークだが、取り出したのはなんとおもちゃのような短刀だった。斬撃を繰り出すも、そんな“おもちゃ”にまったく刃が立たないことに愕然とし、“世界一”との差を痛感するゾロ。
最終的にミホークは短剣でゾロの胸を刺すが、心臓を貫かれようとも退こうとせず、“敗北より死を取る”という姿勢を見たミホークは、ここにきてようやく“戦う相手”として認め、名を尋ねる。
「久しく見ぬ“強き者”よ」と、愛剣の黒刀を抜くミホークに技を繰り出すも完敗するゾロ。そして「背中の傷は剣士の恥だ」と潔く負けを認め、笑って正面を向き、ミホークの一刀を受け海に落ちていく。
死んだんじゃ……!? と誰もが思ってしまうシーンだったが、ミホークはゾロを生かしていた。そして「貴様が死ぬにはまだ早い」「このおれを越えてみよロロノア!!!」と叫ぶのだ。
決闘に横槍を入れず、歯を食いしばりながら戦いを見届けたルフィに、「おれは もう!!」「二度と敗けねェから!!!!」「文句あるか 海賊王!!」と、男泣きをしながらゾロは決意を表す。これからの長い冒険で右腕としてルフィを支え続けるゾロの男気を感じた、大好きなシーンだ。
ちなみにこの傷の全貌は、魚人海賊団船長のアーロンと対峙したときに明らかとなっている。左肩から右脇腹にわたって縫われた傷は、さすがのアーロンでも驚くほどひどいものだった。なにかと無理をするゾロをはじめ麦わらの一味に、船医チョッパーはなくてはならない存在だ……とあらためて思った次第だ。
2年後編に突入してからはゾロが大量出血するシーンはめっきり減り、彼の成長が感じられる。しかし、カイドウの右腕との戦いでは、久々の出血量とともにルフィへの強い想いが見られ、胸が熱くなった。これからゾロはどんな過程を経て世界一の大剣豪になるのか、最後まで見届けていきたい。