幼少期に見たものの記憶や受けた影響は、良くも悪くもなかなか消えないものだ。中には、何気なく触れたコンテンツで一生消えないトラウマを負った経験があるという人も多いだろう。特に、悪影響のなさそうな「子ども向けアニメ」で負ったトラウマは、下手をすると一生の心の傷になりかねない。
そこで今回は、多くの子どものトラウマを作った怖すぎるアニメ作品を紹介する。当時のトラウマがよみがえらないよう注意してほしい。
まずは、1975年にNHK教育テレビの『にんぎょうげき』枠で放送された『パンをふんだむすめ』というアニメ。影絵のような表現技法でアンデルセン童話を描いたもので、そのあらすじは、わがままで高慢な少女・インゲルが自分のドレスを汚したくないばかりにお土産のパンをぬかるみに放り投げ、そのパンを踏んで渡ろうとしたことをきっかけに地獄に落ちてしまうというもの。
インゲルが沼に沈んでいくときの悲鳴や、沼でブクブクと浮かぶ泡だけが実写で表現された様子が恐ろしく、全体的になんとも暗い雰囲気を漂わせている作品。また山田美也子による、寂寥感漂う主題歌が怖いと有名だ。同作はたびたび再放送されており、最近では2019年の夏に放送。このときもネットで大きな話題を集め、「大人が見ても怖い作品」と評判となった。
■名作が多かったNHKの人形劇
また『NHKテレビにんぎょうげき日本むかしばなし』で放送された人形劇『牛方と山んば』もトラウマ作品として名高い。
これは、主人公の牛方(牛を使ってものを運ぶ人)が不気味な森に迷い込み、そこで美しい女性と出会うが、その女性は実は人を食らう山んばだったという、昔話にありがちなストーリーだ。
この人形劇の怖いところは、ずばり女性が山んばに豹変する瞬間。また目を見開き髪をふり乱した恐ろしい見た目で奇声をあげながら牛方を追いかけてくる山んばの姿や、牛を食べるときの「ゴリゴリ、グチャグチャ」という効果音など、長時間にわたって恐怖は続く。
この山んばの豹変は「ガブ」と呼ばれる人形浄瑠璃ならではのカラクリを用いた演出技法で、大人になった今からすると人形劇という文化の奥深さやクオリティの高さに素直に感動する作品でもある。しかし幼少期にこれを見たら一生忘れられない後味の悪い思い出になることは必至だろう。
そもそも人形劇はその妙なリアルさが不気味な怖さを生んでいるジャンル。『牛方と山んば』以外にも、ホラー作品ではない『サンダーバード』や『ひょっこりひょうたん島』を怖いと思う人が多いのもうなずける。また、同じくNHKによる小学校2年生向けの道徳番組『バケルノ小学校 ヒュードロ組』に登場するオキク先生も、『牛方と山んば』の山んばと同じような技法で豹変し、たくさんの子どもたちにトラウマを与えているキャラクターだ。