■モンスターの料理も美味そう

 中華料理にパンにおにぎりなど、世界各国の料理が登場する『ドラゴンボール』だが、なかにはゲテモノじみたものもあり、しかしそれが意外とうまそうだったりする。

 次はピッコロ編から「シンバルの丸焼き」だ。これは、ピッコロの手下であるタンバリンに敗北した悟空が腹をすかせて森の中をさまよった際に、偶然見つけた巨大魚の丸焼きを食べてしまったことで生まれた料理。

 この魚の丸焼きはヤジロベーが食べるために準備してあったものだった。それを悟空が勝手に食べてしまったことで、ヤジロベーは激怒してしまう。

 そこから2人のもとへ次の手下であるシンバルがやってくると、ヤジロベーはあろうことかシンバルを食材として刀を抜いた。そして「ナマじゃ食えそうにねぇな焼いて食うか…」と刀で横一線、胴体を腕ごと切り落としてしまう。そのままヤジロベーは、まるで魚を焼くかのようにシンバルを丸焼きにした。

 シンバルはちょっと太ったドラゴンタイプの魔物で、胴体を串刺しにされて丸焼きにされた姿は鶏肉か豚肉あたりに見えなくもない。漫画では肉を一枚切って食べる様子が描かれるが、ちょっとレアな厚切り肉のように見えてしまうから不思議である。

 同じくゲテモノでいえば、地球襲来前にベジータとナッパが謎の惑星で食べていた「宇宙人の腕」も忘れがたいシーン。これはさすがに美味そうではないが、モチャモチャと腕の筋を食うベジータを見て、どんな味なのかと興味を抱いた読者も少なくないだろう。

■恐竜の尻尾の厚切りステーキ

 最後は悟飯の野良修行で描かれたグルメシーン。悟飯はピッコロによって辺境の地に連れてこられ、自力で生き抜くように教えられると6か月の間で環境に自然と慣れていった。

 その場所には恐竜も生息しており、悟飯は貴重なタンパク源として恐竜から肉を拝借する形となる。襲いかかってきた恐竜に対して悟飯は岩にわざと激突させて気絶させると、剣を抜いて尻尾の部分を少し切り落とす。少しといっても厚さは20センチほどで、幅は座布団ほどの大きさ。悟飯は薪に火をつけ、この肉を丸ごと焼いていた。

 ステーキ屋に行ってもこれほど大きな肉は出せない。恐竜の肉ということを気にさえしなければ夢のようなステーキではないだろうか。そして、そんな量の肉を平らげられる悟飯も、やはり父親譲りの大食漢だということが分かるだろう。

 あらためて振り返ると『ドラゴンボール』に登場する料理は変わったものが多い。それでも悟空たちが豪快に食べている姿を何度も読みたくなるのは、鳥山氏による絵の一枚一枚が魅力的に描かれているからだろう。

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