■お金の力でなんでも解決!?『富豪刑事』神戸大助

 最後に紹介するのは、タイトルの時点ですでにお察しのアニメ『富豪刑事』。原作は筒井康隆氏による小説だが、2020年にアニメ化された際には設定も物語もすべて大幅に変更されている。ちなみに過去に深田恭子主演でドラマ化もされていて、こちらもほとんどがオリジナルストーリーである。(もちろんアニメとも別物)

 本作の主人公である神戸大助は大富豪・神戸家の御曹司なのだが、ある目的のために刑事となる。合理主義的で金銭感覚皆無の彼は、“残高無限大”と言われるほどの財力に物言わせ、事件解決をすることが常。この世のすべてはお金で解決できると思っているうえ、それを実行できるだけの力を持っているのもまたタチが悪い。

 彼は第1話の時点で、捜査のために信号機をハッキングしたり、首長国王子から車を買い付けたりと、スケールの違いを見せつけている。

 また本作では各話が終わるたび「今回計上された費用」として、その話のあいだに神戸が使った金額が提示される。ちなみに最高額は第9話の2802億2000万円。もはや財力という名の暴力だ……。

 

 一般市民にとってはるか遠い世界に住んでいるように思えるお金持ちキャラ。彼らが湯水のようにお金を使う描写には、羨ましさと同時にほんの少しの妬ましさも感じてしまうはずだ。……でも、今回のようにあまりにもスケールが違うと、“珍獣”を見るような気持ちでただ圧倒されるばかりかもしれない。

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