2022年10月24日発売号の『週刊少年ジャンプ』(集英社)で3年11か月ぶりに連載が再開された冨樫義博氏の漫画『HUNTER×HUNTER』。少年ジャンプ編集部がツイッターで連載再開を発表した投稿は、すぐにトレンド入りを果たし、多くのファンが歓喜の声を挙げた。
約4年という休載期間に、これまで発売されていたコミックス全36巻(37巻が11月4日に発売)を何度も読み返していたというファンは多いと思う。個性豊かな念能力による駆け引きや、いつ誰が命を落とすか分からない緊迫したストーリー展開。同作の魅力は数多いが、やはり何より魅力的なのは思わずページを止めてしまうような、冨樫氏によるセリフの数々ではないかと思う。
そこで今回は、主人公・ゴンのかけがえのない仲間の一人であるキルア=ゾルディックについてまとめた。初登場時こそ暗殺一家のエリートとして、全身から冷酷さがにじみ出ていたキルアだが、ゴンとの旅を続けるうちに仲間想いな面や、繊細さを併せもった年頃の少年らしいキャラに。そんなキルアの友情の厚さを感じる名セリフを紹介したい。
■「逆だよゴン オレなんだ ゴン オレ お前にあえて本当によかった」
まずがグリードアイランド(G.I)編でのセリフから。「グリードアイランド」は、ゴンが父親・ジンを探す手がかりとして探し求めていたハンター専用ゲーム。苦労してゲームを入手したゴンとキルアは、期待に胸を膨らませてグリードアイランドの世界に足を踏み入れる。
最初に訪れた街で、クリアを目指す仲間にならないかと誘ってきたプレイヤーがいたものの、ゲームを悪く言われたことでゴンは仲間になることを断ってしまう。ゴンはゲームではなく、怖いのはプレイヤーの考え方であると持論を述べると、キルアはゴンに新しい視点でゲームをクリアすることを提案。ゴンはその提案に納得し、「ありがと!」「キルアと会えてオレ本当によかったよ!」と素直に感謝した。
その言葉を受けて、キルアが口では「やめろよバカ、恥ずいだろ」と冷めた反応をしながら、心の中で静かにつぶやいたのがこのセリフだった。ゴンの少し後ろを歩き、顔を見られないように少し下を向いていたキルア。周りの音が消えたかのようにモノローグだけが書かれた演出で、すぐにページをめくるにはもったいないコマだった。