■活躍の場がなかなかなかった卍解
続いては、仮面の軍勢のひとり・六車拳西の「鐵拳断風(てっけんたちかぜ)」。彼の卍解については空座決戦篇で名前だけ判明したのだが、その後数年にわたって彼が本編に登場せず、「千年血戦篇」でようやく長らく謎だった「鐵拳断風」の能力が判明した。
ファンが気になっていた「鐵拳断風」の能力は、始解でコンバットナイフのような形状だった斬魄刀がメリケンサックのような形状に変化し、刃が相手に触れている間、爆発で無限に相手を攻撃し続けるというもの。
ド派手な戦いが目立つ『BLEACH』の世界においては少々見劣りする地味さがあり、また使用者本人の強さにかなり左右されてしまう能力といえるだろう。
また刃渡りがメリケンサックほどしかないため戦闘においては近接戦に持ち込むしかない。リーチが不利な点や、常に相手に触れていなくてはいけないこともあり、六車は作中ではメインキャラと闘うような描写や最大の見せ場ともいえるシーンはほとんど見られなかった。
■最大の長所を消す卍解も
最後は、二番隊隊長・砕蜂の「雀蜂雷公鞭(じゃくほうらいこうべん)」。かなり小型で指に装着する形状だった始解「雀蜂」とは異なり、卍解では自身の右腕に砲台を装備し、身長の2倍はあろうかという蜂の針のような金色の砲弾をミサイルのように発射するという、派手な見た目が印象的だった。
その巨大さゆえに自由に動くこともできず、さらに砲弾を発射後は反動で砕蜂自身も吹き飛ばされてしまう。この能力には本人も「“暗殺”と呼ぶには派手すぎる」と評する始末だ。しかも3日に1回しか使えないという。
始解では「弐撃決殺」という、2回相手を攻撃しないと相手を殺せないという使いずらそうな能力だったにもかかわらず、砕蜂はそれまで自身のスピードや隠密性で弱点をうまくカバーしていた。それが卍解になった途端にさらに扱いずらそうなものになってしまったのだ。いくら斬魄刀の能力が自分では選べないとはいえ、小柄な体と素早さが長所の砕蜂の特技を全部帳消しにしてしまうかのような卍解の形状は見ていて不憫すぎた。
斬魄刀の形状や能力に恵まれていなくても、使用者の強さでいくらでもカバーできそうなものだが、彼らが本編で勝利の立役者ともいえる活躍ができなかったのは、ひとえに卍解と自身のポテンシャルの相性が悪かったと言えるのではないだろうか。とはいえ全員の卍解が派手で強すぎても面白味がないので、彼らの能力も個性ということで愛そうではないか。
■番組情報
テレビアニメ『BLEACH 千年血戦篇』
毎週月曜24時より放送(TV東京系)
公式サイト:https://bleach-anime.com/