■完璧な殺し屋の不器用な一面…?『ゴルゴ13』デューク・東郷

 殺し屋といえば、ターゲットを仕留めるために変装をして距離を詰めていく、なんていう展開も珍しくない。『ビッグコミック』(小学館)にて連載されている漫画『ゴルゴ13』に登場する最強の殺し屋・ゴルゴ13ことデューク・東郷も、劇中では目的達成のためにさまざまな変装を披露している。

 ゴルゴ13は殺し屋としての腕前はもちろんのこと、寡黙で隙がない態度や、太く男らしい眉毛と鋭い眼差しなどが特徴的なキャラクターだ。ことあるごとに「完璧」な姿を見せるゴルゴだが、そんな彼にもあまりにも意外な弱点が存在するのである。

 お察しの通り、実はゴルゴは「変装」がとにかく苦手なように見受けられる。神父、技師、ディーラー、警官とさまざまな姿で相手の目を欺くのだが、力強すぎる眉毛と鋭すぎる眼光のせいで、読者には一瞬でゴルゴだと分かってしまうのだ。それでいて喋り方やテンションは変装したキャラクターに寄せているので、鋭い眼差しのまま陽気に喋る彼の姿はどこかシュールでもある。

 さすがにターゲットに気付かれる場面も出てきたため、特殊メイクに頼るなど、ゴルゴ本人もどこか「変装ベタ」な弱点には気付いていたのかもしれないとも思うが……。

 殺し屋としての実力も立ち振る舞いも完璧なだけに、思わぬ弱点にどこか微笑ましくもなってしまう、意外なキャラクターである。

 

 バレバレな変装姿といっても、あるキャラは過去の自分を捨てきれぬがゆえ、あるキャラは純粋に変装が苦手だからと、理由も背景もそれぞれだ。シリアスなシーンでありながらも、あまりにも分かりやすい変装姿は、見る者を思わず微笑ましい気持ちにさせてくれる。

 その一方で、次はどんな姿で、どんな形で登場するんだろう……と期待してしまうファンも、少なくないのかもしれない。

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