■いつもは頼もしいパパの涙にグッときた『ドラえもん』の「パパも甘えんぼ」
国民的漫画『ドラえもん』(小学館)にも、母親の愛を感じるエピソードが登場する。
コミックス16巻の「パパも甘えんぼ」では、ある日お酒に酔って帰宅したのび太のパパが、めずらしく荒れた様子を見せる。そのまま玄関で寝ようとするパパを注意するのび太だが、パパは「うるさあい。子どものくせに親にむかって」と、怒鳴る始末。
のび太は怒るパパを見て「子どものくせにというなら、親を出そうよ」とひらめき、パパを連れてタイムマシンでのび太のおばあちゃん、つまりパパの母親が生きていた10年前に行くのだ。
過去に到着し、未だ酔っ払って大の字で寝ているパパを「これ、のび助や おきなさい」と起こすおばあちゃん。はじめは寝ぼけて悪態をついていたパパだが、おばあちゃんの顔を見るなり「かあちゃん!」と泣きついてしまう。
気を利かせて2人きりにしてあげるのび太とドラえもん。ドラえもんはポツリと「おとなって、かわいそうだね」とこぼした。「どうして?」と不思議そうなのび太に「自分より大きなものがいないもの。よりかかってあまえたり、しかってくれる人がいないんだもの」と的を射た見解を披露するのだ。このドラえもんの言葉は、現代社会を生きる大人たちに刺さる言葉だと思う。
大人というだけでグチをこぼすことや弱音を吐くこともままならない現実。そのなかで、手放しで甘えることができる存在は貴重だろう。のび太のパパという、普段は頼もしく見える人間でも、母親を前にすると”甘えんぼ”になってしまう。それほど母の愛とは偉大だと分かる名シーンだ。
母親の愛情を感じる名シーンを紹介してきた。母親の愛のエピソードというのは涙腺が緩くなりがちで、思わずつられて泣いてしまうことも多い。そんな感動エピソードにじっくりと浸り、ほっこりと優しい気持ちになってみてはいかがだろうか。