■いつもは問題児、姉の前では超いい子!『銀魂』沖田総悟

 通常時と姉の前でキャラが変わるといえば、『銀魂』の沖田総悟もなかなかである。彼は真選組一番隊の隊長で、さわやかな容姿に反して腹黒くドSなキャラクター。口も態度も悪く、仕事をサボることもしばしばで、剣の腕はたしかだが“問題児”という言葉がぴったりだ。

 しかしそんな彼も、姉・ミツバの前では一瞬にして大人しくなってしまう。一人称が「俺」から「僕」に変わり、話し方も態度も好青年風になり……と、可愛らしい外見そのものの“いい子”に豹変するのだ。

 ちなみにこの姉弟も親を早くに亡くし、二人きりで生きてきたという過去がある。ミツバは病弱でありながら沖田を大切に育て、だからこそ沖田も優しい姉のことが大好き。姉の前で猫をかぶるのは、自分のせいでよけいな心配をかけたくないという沖田の心遣いなのだ。

 2人の関係は、原作漫画の15巻と16巻に収録されている「ミツバ篇」にて詳しく描かれている。ミツバに「めっ」とたしなめられただけで速攻謝ったり、頭を撫でられて嬉しそうに頬を染めたりと、いつもの生意気ぶりからは想像できないほどの沖田の姿が見られる。姉弟水入らずで楽しげに過ごす光景は、微笑ましいことこのうえない。

 ミツバ篇は上記のようなほのぼのとしたシーンもあるが、基本的にはシリアス寄りであり、作中屈指の感動エピソードとして知られている。沖田とミツバの関係はもちろん、沖田のライバルでありミツバの想い人でもある土方も加わって繰り広げられるドラマに、ぜひ注目してみてほしい。

 

 姉や妹が大好きで、好きすぎるあまりときにキャラ崩壊してしまうこともあるシスコンキャラ。これだけ慕われれば、きっと相手も嬉しくて仕方がないだろう。

 お互いを大切に思うきょうだいの姿は、見ていて心癒されるものである。愛ゆえの暴走も含め、あたたかい目で彼らのことを見守りたくなってしまうはずだ。

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