きょうだい仲が良いのは素晴らしいことだ。しかしあまりに愛が行き過ぎ、周りから「シスコン/ブラコン」とからかわれてしまう人もちらほら。そんな“愛が重い”関係性は、フィクションのなかでもよく描かれる。
今回はそのなかからシスコンキャラに注目し、3人のキャラクターを紹介していく。コミカル寄りなシスコン描写を集めたので、ほっこりしていただければ幸いである。
■頭のなかは「姉さん♡」でいっぱい!『SPY×FAMILY』ユーリ
最近の作品でシスコンキャラと言われれば、『SPY×FAMILY』のユーリ・ブライアを思い浮かべる人も多いだろう。彼は主人公・ロイドの妻であるヨルの弟で、表向きは外務省に就職したエリート公務員。しかし実は国家保安局に所属しており、スパイの〈黄昏〉――つまりロイドの正体を掴むため、日々奔走している。
ユーリは優秀かつ冷静沈着で、ときには冷酷な一面を見せることもある一方、姉の前ではただの“可愛い弟”になってしまう。幼いころに両親を亡くし、二人きりで生きてきた彼らの仲が良いのは当然かもしれないが、ロイドの養子で読心能力を持つアーニャがユーリの心を読んでドン引きするほど、ユーリのシスコンぶりは度を超しているのだ。
何をおいても姉が最優先なユーリは、ヨルのこととなると理性をまるっきり失ってしまう。ヨルの発言はどんな内容でも全肯定するのはもちろんのこと、頭のなかは常に「姉さん♡」でいっぱいで、職場のロッカーには姉の写真が大量に貼られている……と、若干狂気的だ。義兄であるロイドのことは正体を知らないまま目の敵にしており、ことあるごとに絡んでいる。
極めつけが、料理下手なヨルが作った殺人級の料理を笑顔で食べる点。ヨルが作ったものは常人であればひと口で気絶する代物なのだが、ユーリはいつも美味しいと喜びながら食べてみせる。しかも食べているあいだずっと変な汗が止まらず、三途の川を渡りかける羽目になっているにもかかわらずだ。ここまで来るともう、あっぱれとしか言いようがない。
常日頃、姉のためならなんでもできると豪語しているユーリ。現在はギャグ描写で済んでいるが、いつかロイドの正体がバレて敵対することになったとき、いったいどうなってしまうのか……少々怖い。
■乱暴者だけど妹には激甘!『ドラえもん』ジャイアン
あの国民的アニメにもシスコンなキャラクターが登場する。そう、『ドラえもん』のジャイアンだ。彼はのび太をはじめとした同級生に暴力を振るい、人のものをなかば無理やり奪ったりするため、乱暴者として恐れられている。だが、そうかと思えば人情に厚く、仲間のために損得勘定なしに行動する一面もある、『ドラえもん』になくてはならない魅力的なメインキャラクターだ。
そんな彼は家族想いでもあり、妹のジャイ子のことをとことん溺愛している。「妹を泣かせる男がいたら、おれが殺してやる!!」と、作中の過激な発言からもわかるとおり、その愛情は並大抵のものではない。当然兄妹仲もよく、ジャイ子にとってもジャイアンは頼れる良いお兄ちゃんなのだろう。
漫画家になりたいという妹の夢を叶えてあげようと奮闘する「まんが家ジャイ子先生」、妹の恋を一生懸命後押しする「泣くなジャイ子よ」など、ジャイアンの妹大好きな一面がわかるエピソードは数多くある。
また、アニメオリジナル回でも彼のシスコンぶりは発揮されており、2021年2月27日放送の「ドラドラ兄妹げんか」では、妹のため自分のおこづかいを使ってプレミアムメロンパンを買いに行ったり、「店ごと持ってきてやる」と張り切ったりといった姿を見せている。
このエピソードでは“あんなお兄ちゃんがいたら”と憧れたドラミによって、ドラえもんの性格がジャイアン化させられてしまい、ふたりはお互いの妹のためにメロンパンをめぐって激しいバトルを繰り広げることに。乱闘のなかで出てくる両者の妹自慢にも、ぜひ注目してほしいところである。