■もし裏切っていたら強敵間違いなし?「第5部」パンナコッタ・フーゴ
第5部では舞台をイタリアに移し、主人公・ジョルノがギャングスターとして成り上がるため、組織の人間たちと激しいバトルを繰り広げる。そんなジョルノらの仲間の一人であるパンナコッタ・フーゴにも、当時の構想でのみ語られるある裏設定が存在した。
ジョルノらが組織・パッショーネを裏切ると決めた瞬間、フーゴだけはこの提案に乗れず、結果としてメンバーを離脱してしまう。以降、作中では姿を現さない彼だが、ゲーム『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の旋風』の攻略本に掲載された荒木氏のインタビューによると、実はフーゴは当初、ジョルノらを裏切る敵役キャラとして考えられていたそうだ。
荒木氏としても、仲間に裏切られる暗い展開は良くないと考えた結果、やむなく「方針についていけず離脱する」という形でフェードアウトさせたらしい。また、この攻略本では「ジョルノチームで扱いに困ったスタンドは?」という質問に「フーゴですね、危なすぎて」と答えている。キャラクターを動かす作者からすると悩みの種だったようだ。
結果的に出番がほとんどないフーゴだが、その後描かれたアニメやスピンオフ小説ではようやくストーリーが補完され、彼のその後の顛末を見ることができる。一目見て分かるその凶悪な能力は、敵として登場した場合、ジョルノらに大きな絶望感を与えたことだろう……。
こういった裏設定はどれも、インタビューや資料集などでぽろりと飛び出し、それまでのキャラクターにまた違った見方を与えてくれる。
キャラクターが戦いに身を投じる理由であったり、ときには現在とは真逆の立ち位置になるはずだった……など、その裏設定の内容もさまざまだ。裏設定が採用されていたらと、その先の展開を空想するだけで、ファンとしては思わずわくわくしてしまうものである。