■もはや何のために…「腹でスイカを食べる」

 最後に紹介するのは、アニメ版「ジャイアンズをぶっとばせ」のエピソードから。空き地で遊んでいたしずかを含めた女子たちに向かって、ジャイアン率いる「ジャイアンズ」が野球をするから空き地から出ろと言う。

 成り行きでのび太とドラえもん+女子チーム対ジャイアンズで対決することになるのだが、このときの賭けの内容が、“女子チームが勝ったらジャイアンズは謝り、ジャイアンズが勝ったらのび太が腹でスイカを食べる”というものだった。

 女子チームを率いることになったのび太は特訓をしようとするのだが、女子たちは真面目に野球に取り組んでくれず、それが原因で仲間割れをしてしまう。

 ジャイアンズとの試合当日、のび太とドラえもんしか出場せず、ベンチで見ているだけの女子たち。ひみつ道具を駆使して勝とうとするも苦戦し、ボロボロになっていくのだが、「絶対に謝らせる!」と、のび太は諦めない。

 その様子を見た女子たちは考えをあらため、ひみつ道具を使わず、正々堂々と全力でジャイアンズと戦い始める。結果的に負けてしまうのだが、ジャイアンは罰ゲームを反故にし、全員でスイカを食べるというすがすがしいハッピーエンドで締めくくられていた。

 ちなみに漫画版では、女子チームを率いてのび太が奮闘するところまではおおかた同じ。しかし、ルールを理解していない女子たちに鬼監督のように怒って総スカンを食らう羽目に。結局、“監督には向かないからひとりであやとりでもしてろと言われた”と、さめざめと泣くのび太をドラえもんが「かわいそうに」と慰めるシーンで終わっていた。

 どちらにせよ、珍しくのび太が大いに活躍したこのエピソード。とくにアニメ版は「神回」と言われ、「のび太、よく頑張った!」と、多くのファンの感動を呼んだようだ。

 

 のび太が自ら言い出した罰ゲームや、仲間から言われたとんでもない内容は、とてもユニークで、さすがのドラえもんでも対応できないようなものばかり。なぜか食べ物ネタが多いのも、“『ドラえもん』あるある”なのかもしれない。罰ゲームを回避するために、これからもドラえもんとのび太の奮闘は続いていくのだろう……。

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