子どもから大人まで、世代を問わず大人気の国民的アニメ『ドラえもん』。未来からやってきたドラえもんがさまざまなひみつ道具を四次元ポケットから出し、主人公・のび太のピンチを救っていく物語だ。
さて、そんな『ドラえもん』の作中では、どんくさいのび太が悔しさのあまり余計な一言を言ってしまい、結果的に自らの首を絞めて“罰ゲーム”を受けるエピソードがよく描かれている。今回は、原作に登場する「それはムチャだろ…」と思ってしまった独特な罰ゲームを紹介していこう。
■想像しただけでも痛そう…「目でピーナッツをかむ」
最初に紹介するのは、コミックス2巻「オオカミ一家」に登場するシーンだ。
新聞で見た貴重なニホンオオカミを見つけると言うのび太に対して「見つけられるはずがない」と、笑ってバカにするスネ夫やジャイアンたち。その結果、のび太は“もしも捕まえられなかったら目でピーナッツをかむ”と、無茶な約束をしてしまう。
さっそくオオカミを探しに山へ向かったドラえもんとのび太。「月光とう」でのび太がオオカミの姿に変装し、近寄って来たら眠らせ薬を打って捕まえるという作戦に出たが、のび太はこの眠らせ薬を誤射し、ドラえもんを眠らせてしまう。
そのとき、のび太を仲間だと思って1匹のニホンオオカミがやってきた。そしてのび太は、人間たちが山に入ってきたせいでオオカミは絶滅の危機にあり、今は1家族だけしか残っていないことを聞く。
オオカミに招待され一家と触れ合うも、その後「月光とう」の効き目が切れて人間に戻ってしまい、ピンチに陥るのび太。間一髪、駆けつけたドラえもんがオオカミたちを眠らせ、いざ捕まえようとするのだが、事情を知ったのび太は涙ながらにドラえもんに見逃そうと訴え、山にオオカミを探しに来ていた大勢の人にも嘘の情報を流し、ニホンオオカミを救った……という心温まるエピソードだった。
一歩成長したかのように見えたのび太だが、後日、ジャイアンとスネ夫に「約束だ、目でピーナッツをかめ!」と言われ「『目でピーナッツかみき』だしてよ」と、いつものようにドラえもんに頼み込む……というオチがついていた。
■なぜそんな無理なことを…「鼻でスパゲッティを食べてみせる」
コミックス10巻「のび太の恐竜」に出てくるエピソードでも、のび太はとんでもない罰ゲームを受けることを申し出ている。
ある日、スネ夫にティラノサウルスのツメの化石を自慢されるのび太たち。しかし、スネ夫はいつもの意地悪でのび太だけには見せようとしない。これに怒ったのび太は、“恐竜の丸ごとの化石を発掘してみせる!!”と、大きな口を叩いて帰ってきてしまった。
ドラえもんに頼み込むも拒否され、結局1人で発掘しに行くことになったのび太。しかし、そこで偶然にも“恐竜の卵らしきもの”を見つけるのだ。
ひみつ道具の「タイムふろしき」を使って1億年前に時間を戻し、卵を恐竜に戻そうとするも、さらにひやかすスネ夫に「うそだったら鼻でスパゲッティ食べてみせる!」と、またしても余計な一言を言ってしまう。
数日後、卵が割れてなかから出てきたのは、なんと本物の恐竜の赤ちゃんだった。“ピー助”と名付けた恐竜を試行錯誤しながら育てるのび太だったが、やがて大きくなりすぎて家では飼えなくなってしまい、公園の池に連れて行ってお世話を続ける。しかし、その存在が公となり、新聞などでも報道されてしまうことに。
ピー助が危ないと悟ったのび太はスモールライトで小さくし、タイムマシンで1億年前へと帰しに行く。まるで親子のような関係だった2人の別れはあまりにも突然で、寂しい回となってしまった。
落ち込むのび太を見て、ドラえもんは“人に頼らずに自分で考えて行動した点に大きな意味があった”と独立心を褒めるのだが、次のコマでは「鼻でスパゲッティ食べる機械をだしてくれえ!」と、泣きつくいつもののび太の姿で締めくくられていた。
ちなみに、この「ピー助」とのエピソードは、のちに『大長編ドラえもん』、ドラえもん映画作品『ドラえもん のび太の恐竜』、『ドラえもん のび太の恐竜2006』などでもリメイク公開されている。
さらに2020年の映画『ドラえもん のび太の新恐竜』では、なんとピー助のような恐竜が登場しており、エンディングクレジットにも「ピー助」と表記されていた。思わぬ再会に歓喜した原作ファンは少なくないだろう。