■「うーまーいーぞぉぉぉぉぉっつ!!」派手なリアクション&演出でファンを魅了した料理アニメ『ミスター味っ子』
1987年から放映されたテレビアニメ『ミスター味っ子』も漫画とアニメで作品の雰囲気が大きく異なる作品のひとつ。原作は寺沢大介氏による同名漫画で、1986年から『週刊少年マガジン』で連載された、亡父の食堂を継いだ少年・味吉陽一が料理人たちと研鑽する物語。
原作は料理漫画だが、アニメはとにかく派手な演出が特徴。包丁ひと振りで材料が切れるのは序の口で、海の上でまな板に乗りながら魚をさばく料理人が登場したり、親指を除いた両手8本の指にシャリを乗せ一気に作る「マッハ握り」という技が披露されたり、とにかく自由な作風が印象的だった。
特に「味皇」こと村田源二郎のリアクションを覚えている人は多いはず。料理を食べた後に「うーまーいーぞぉぉぉぉぉっつ!!」と叫びながら口から光線を出す、巨大化して建物を壊す、海の上を走り出す、料理のなかを泳ぐ、宇宙に飛んでいく、など味皇の名物リアクションは数え上げてもキリがない。
同作は後に『ジャイアントロボ THE ANIMATION-地球が静止する日』や『機動武闘伝Gガンダム』を手がける今川泰宏監督の出世作で、ロボアニメと料理アニメというジャンルの違いはあれど、あらためて見ると全作共通した力強さを感じさせる作風となっている。
以後の料理漫画に影響を与え「元祖リアクション作品」とも称される同作は、多くのファンを魅了した伝説級のアニメでもあった。
■『魔法の妖精ペルシャ』そもそもペルシャは“魔女少女”ではなかった?
最後に『魔法の妖精ペルシャ』を振り返りたい。同作は1984年から放映され、『魔法の天使クリィミーマミ』などを制作した「スタジオぴえろ」のいわゆる魔法少女シリーズ第2作。こちらは前述の3作とは少し違い、『週刊マーガレット』に掲載されていた青沼貴子氏の『ペルシャがすき!』という漫画作品が“原案”となっている。
あくまでも原案で、アニメはオリジナル作品ではあるものの、漫画版のペルシャが魔法少女に「変身しない」という点に当時非常に驚かされた。
主人公のペルシャがアフリカ育ちの少女で、彼女が日本で生活するようになるという設定は同じ。だが漫画のペルシャはライオンに育てられた孤児で、動物学者に保護された後に日本で生活するというドタバタコメディ。一方、アニメでは両親が待つ日本に向かう途中、航空機内で「異世界ラブリードリーム」に呼ばれ魔法少女になってしまう。
つまり漫画『ペルシャ』は「ターザン」で、アニメ『ペルシャ』は「魔法少女」というわけだ。
原作準拠の傾向が強くなってきているアニメだが、昭和当時のアニメは今よりも自由な作風のものが多く、なかには読者が予想もしないようなエピソードを盛り込む作品もあった。原作からアニメに入り驚くこともあったが、それはそれで別物の作品として魅力を感じていたという人も多いのではないだろうか。