■『うちのタマ』の傑作回「まつりばやし」
最後は『3丁目のタマ うちのタマ知りませんか?』に登場するノラ。こちらは特定のキャラというよりは、このノラというネコが主人公の話が怖すぎて有名になった。
同作は飼いネコのタマを主人公に、友だちのネコやイヌのキャラクターが楽しく生活する様子が見られる動物たちのほんわかアニメだが、アニメ2期の17話は様子が違った。
それは「まつりばやし」というタイトルで、野良猫のノラの過去にふれる話。タマたちが偶然見つけた捨てられ衰弱した子猫の姿から、自分の過去と、病気で死んでしまった自分のかつての飼い主を思い出すノラ。祭りの楽しそうな喧騒の中で描かれる悲しい出来事に、なんとも言えない後味の悪さが残った。
子ども向けながら生と死という重いテーマを扱った悲しいストーリーで、ノラの飼い主だった女性の死に顔などもはっきりと描かれていたことが印象的だった。ただ、たった10分という短尺ながら過去と現在が交錯する見事な構成や、セリフを極限まで削りながら、ノラの涙と「祭りばやしが遠くでいつまでもないていました」というセリフで締める演出の素晴らしさは間違いなく傑作回だったといっていいだろう。
子ども向けのユル〜いアニメに登場したトラウマキャラたち。製作者の意図以上に、我々の心に傷を残しているのかも?