■その厄介さはもはや人間の宿敵!!「ネズミの怖さ」

 ひとたび文明を失ってしまうとなんとも人間は弱々しい生き物で、野生動物のような毛皮も固い爪もなく、強靭に走り回れる足腰もない。サトルも旅のなかで多くの野生動物を目の当たりにするが、彼らを狩るのにも常に一苦労している。

 作中、サトルをもっとも苦しめた生物と言えば、やはり「ネズミ」だろう。現代社会ではなかなか対峙することのない小動物ではあるが、サバイバル生活のなかでは彼らほど厄介な「敵」はいない。

 なんといってもネズミの驚異的な点は、その生命力と繁殖力の高さだ。どんな過酷な環境でも着実に数を増やし、そして群れを成して行動する。一匹は小さくても、群れることで相手に襲いかかり、食料を食い荒らしてしまうのである。

 また、さまざまな病原菌を持っているのも、厄介な点の一つだろう。作中ではサトルがネズミに噛まれたことから病気を発症してしまい、死の淵を彷徨うシーンが描かれていた。

 駆除のやりづらさと隙間から入り込んでくる性質。荒廃した世界をものともせず繁殖し襲い掛かってくる姿は、絶対に彼らに目をつけられてはいけない……という恐怖すら抱かせるほどである。

 

 普段、文明社会のなかで生きていると、それらを奪われた際にどのようにして生き残っていけば良いのかと途方に暮れてしまうことだろう。食べられる物の見分け方や、それを手に入れる手段。手を出して良い動物と、警戒し対策を練らなければいけない動物。

 そんなとき、自身の持つ「知恵」こそが、サバイバル生活のなかで自身の命を守る最大の武器になりえる。漫画『サバイバル』では、荒廃した世界で奮闘するサトルの成長劇だけでなく、普段使いできる知識やノウハウを学べる点も大きな魅力の一つだろう。

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