■見た目はまさしく鬼なのに…心優しい『銀魂』屁怒絽

 最後に紹介するのは『銀魂』の屁怒絽。彼は三大傭兵部族といわれる荼吉尼(だきに)族出身で、緑色の肌と赤色の目、頭の両側に生えたツノが特徴である。一言で言うなら鬼のような見た目で、額には常に青筋が立っているなど、とにかく怖い。

 屁怒絽はある日、主人公の銀時が営む万事屋の隣に引っ越してきた。見た目のインパクトが強すぎるせいで、意外とビビりな銀時やおとなしめの新八はもちろん、普段は怖いもの知らずの神楽にすら怖がられている。

 しかし実は、屁怒絽は生き物や植物を大切にする心優しい人物であり、職業は「花屋」。常に敬語でしゃべり、礼儀正しく穏やかだ。ただ万事屋の面々は彼が花屋をやっていることについて、“花屋は仮の姿で、ゆくゆくは世界征服をするつもり”と勝手な推測をしていた。失礼極まりない話だ。

 とはいえ見た目どおりの怪力の持ち主でもあり、ルールやマナーを守らない相手に制裁を加えることも。本人はやさしく諭しているつもりらしいが、結局は力任せの対応であり顔も怖いので、やられる側はもちろん、見ているだけの人も震え上がってしまう。

 最終章では彼の過去についても触れられ、今の穏やかな性格になった背景が明かされる。最終決戦にも参加しており、強敵をワンパンで倒すなど、作中最強レベルといっても過言ではない強さを見せつけていた。屁怒絽さんの前では大人しくしていた銀時たちは、やはり正しかったのだろう。

 

 本当は優しいのに、見た目で損してしまいがちな“コワモテキャラ”。第一印象が”大事なことには変わらないが、これもまたよく言われるように、人は見た目で判断できないものなのである。ぜひぱっと見のイメージにとらわれず、彼らの内面にも目を向けてほしいところだ。

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