■まる子も読者も凍りついた…「永沢君の家、火事になる」
“玉ねぎ頭”がトレードマークの少々卑屈で毒舌なまる子のクラスメイト・永沢君。そんな彼の家が突然火事になる衝撃的なエピソード「永沢君の家、火事になる」は、まる子のみならず読者を凍りつかせた。
ある日消防車の音に気づき、まる子と友蔵は野次馬に行く。しかし、火事が起きていたのは、なんと永沢君の家だったのだ。
命からがら逃げ出した永沢君一家。永沢君は燃えさかる自宅を見ながら呆然と涙を流し、母はまだ幼い赤ん坊を抱いており、父は燃える自宅を見て「燃えてる…ハ…アハハ…」と笑うしかない様子。「き…気の毒で何も言えないよ」と、まる子が後ずさりするほどの悲惨さだった。
火事の翌日、暗い様子で登校した永沢君を励まそうと、学級委員の丸尾君が一人張り切り「永沢君をはげます会」を企画する。失意のどん底にいる彼にかける言葉など見つからないクラスメイトだったが、困惑しながらも丸尾君に促されるままに1人ずつ励ましの言葉をかけたり、「手のひらを太陽に」を歌わされたりなど、地獄のような演目が続いた。
終始俯きながら、暗い顔つきで会の進行を見ていた永沢君。最後に一言「みんなはいいよな…火事にならなかったんだから…」と呟き、その場の空気が凍ったところでエピソードは締めくくられていた。
クラスメイトの家が火事になるという衝撃的なこのエピソード。ほのぼのとした『ちびまる子ちゃん』のなかで強烈なインパクトを残し、現在でも”印象的なエピソード”として挙げられることが多いようだ……。
さくらももこさんの『ちびまる子ちゃん』は、まる子をはじめ個性豊かなキャラクターたちがたくさん登場する。そしてそんな彼らが巻き起こすさまざまな珍騒動は、いつの時代も見る人を楽しませてくれているのではないだろうか。