■考えさせられる…ハンドラーの確信をついたセリフ
63話では、国を代表するオペラ歌手がスキャンダルにより命の危機に晒されていた。この話にロイド一家は登場しないのだが、ロイドの上司・シルヴィアことハンドラーの仕事ぶりを見ることができ、ニュースの映像から読み取った情報や協力者とともに戦争の火種になるかもしれない事件を回避する瞬間を知ることができる。
このエピソードでは、物事を俯瞰して冷静な判断を下すハンドラーとは対照的に、新米部下の1人がメディアに振り回されてしまう。事件を未然に防いだのち「楽して答えを得ようとするなド新米」「自分の頭で考え続けろ」と、ハンドラーが確信をついた言葉を投げかけていた。
作中、週刊誌などのメディアによって大衆が混乱する様子がリアルに描かれていたが、「何が真実か」を常に自身で考える必要があるとあらためて考えさせられた。新米部下だけではなく、読者の胸にも深く刺さったのではないだろうか。
ハンドラーはロイドの上司でたびたび登場しているが、まだまだ謎多き人物。きっと多くの痛みを感じ、戦争を止めたいという思いでスパイという立場にいるのかもしれない。今後語られるかもしれないハンドラーの過去についても、注目していきたいところだ。
プールに溺れた子供を助けるアーニャとロイドや、戦場で立ち上がるヨルなど、命を救う大きな感動シーンも多くある『SPY×FAMILY』。
しかし、紹介したような地味に感動してしまうシーンが多いのも、本作の魅力だろう。アニメ2クール目も始まったばかり。これからも『SPY×FAMILY』から目が離せない。