■実写化で話題の『金カム』にも悲しい兄弟関係が
最後は実写化キャストの話題で大盛り上がりの、野田サトル氏による『ゴールデンカムイ 』。山猫こと第七師団のスナイパー・尾形百之助上等兵は、異母弟である花沢勇作少尉の幻影にとらわれ続けている。
基本的に冷静沈着な性格の尾形だが、陸軍中佐だった父と浅草芸者の母との間に生まれたという生い立ちから、正妻の子でありながら自身を「兄様」と呼んで慕う勇作に対し複雑な感情を抱いていた。
その勇作は日露戦争にて戦死したが、アニメ3期ではその死の真相が明かされた。それは勇作の「人を殺して罪悪感を持たない人間などいない」という考えを理解できなかった尾形が、彼の存在を否定するかのように、弟である勇作を背後から撃ち殺したという悲しいものだった。
しかしその後も尾形の精神に平穏は訪れることがなく、彼亡きあとも尾形はたびたび弟の姿にとらわれている。一言では表せられない思いが尾形を縛り続けるのだ。
彼らのもとにある、兄弟同士の強い確執。漫画やアニメを見る際は、彼らの深い悲しみも理解しながら見ると、さらに物語に深みが増すことだろう。