■敵同士だけど性格の相性は良さそう? アルとグラトニー
敵同士ではあるものの、アルとグラトニーも相性が良さそうだった。この2人は、エドとアル、リンの3人がエンヴィー&グラトニーコンビと戦闘している最中、グラトニーが誤ってアル以外を丸呑みしてしまったことから、一瞬だけ行動をともにすることになる。
グラトニーは敵キャラではあるが、丸っこい身体と幼い言動が印象的でどこか憎み切れない。エドたちを飲み込んでしまったときには困り顔でアルのようすをうかがい、「おで(オレ)どうすればいい?」と聞いてまでいた。
さらに彼はそのあと「おとーさまにおこられる…」と親玉の存在をうっかり明かした挙げ句、アルに言われて彼をその“お父様”のところへ案内することになる。「連れてったらおとーさまよろこぶ?」「喜ぶよー めっちゃ喜ぶよー」と、うまく乗せられているところがなんだか可愛い。
極限状態でしかたなく一緒に行動しているだけではあるが、子どもっぽいグラトニーと温厚なアルだからこそ、うまくことが運んだのだろう。もし取り残されたのがアルでなく、エドやリンだったら、きっとこうはいかなかったはずだ。
悪役なのにマスコット的なかわいらしさがあるグラトニー。性格面だけでいうならば、面倒見の良いアルと仲良しになれたに違いない。
敵も味方も個性豊かなキャラクターばかりの『鋼の錬金術師』。単体ではもちろん、コンビやトリオ、グループなど、ほかのキャラクターとの組み合わせで新たな一面が知れたりもする。
定番の組み合わせ以外にも注目しながら、作品を読み返してみるのも面白いかもしれない。