『鋼の錬金術師』で味わい深かった“即席コンビ”3選! 殺人鬼と軍人の異色タッグ、筋肉で芽生えた友情もの画像
『鋼の錬金術師』16巻(ガンガンコミックス)

 荒川弘氏『鋼の錬金術師』は、『月刊少年ガンガン』にて2001年から2010年まで連載されていたダークファンタジー漫画。アニメや実写映画、スマホゲームなどメディアミックスも盛んで、完結から10年以上経った今もなお愛され続けている作品だ。

 本作には主人公のエドとその弟・アルをはじめとして、マスタング大佐とホークアイ中尉、リンとグリードなど、さまざまな名コンビが登場する。そんな“定番の2人”はもちろんだが、一瞬だけかかわりがあった者たちのなかにも味のあるコンビがいる。今回は、作中で印象的だった“即席コンビ”たちについて紹介したい。

■何気ないやりとりが微笑ましい!殺人鬼バリー&ファルマン准尉

 はじめに紹介するのは、バリー・ザ・チョッパーとファルマン准尉のコンビ。

 バリーは辻斬りを好む猟奇殺人鬼で、過去に23人もの人間を殺害した極悪人だ。あるときついに軍に捕まり処刑された……はずだったのだが、ホムンクルスによって魂を肉体からはがされ、鎧に植え付けられたという来歴を持つ。ひょんなことからホークアイ中尉やマスタング大佐と出会って協力関係を結ぶことになった彼は、監視役のファルマン准尉と共同生活を送ることに。

 バリーは明るくお茶目で、すぐに人を斬ろうとするところだけ目をつぶれば(!?)親しみやすいキャラクターだ。一方ファルマンは、あれよあれよという間に監視役を押しつけられたことからもわかるとおり、けっこうな苦労人気質。監視対象なのにもかかわらず、好き勝手くつろぐバリーに振り回されっぱなしのようだった。

 暇つぶしのためにチェスで勝負したり(ちなみにバリーが全敗)、軽口を叩き合ったりと、2人のやり取りからは意外と良好な関係を築いていることがうかがえる。バリーははじめファルマンを「肉が硬そうなダンナ」と呼んでいたが、いつの間にか名前で呼ぶようになっていたのもポイント。

 ファルマンからすればたまったもんじゃないかもしれないが、はたから見ているぶんには微笑ましいコンビである。ひょうきんなバリーに振り回される苦労人ファルマンという構図、もっと見ていたかった。

■筋肉で芽生えた友情! シグとアームストロング少佐

 シグとアームストロング少佐は、どちらも惚れ惚れとするくらい筋骨隆々なキャラクターだ。軍人であるアームストロングはともかく、精肉店店主のシグは一般人であるにもかかわらず、ホムンクルスをぶっ飛ばしたり、“不死の軍団”と余裕で戦うパワーを持っている。

 互いに筋肉フェチである2人は初対面の際、それぞれの肉体美を見せつけ合い、無言で睨み合った……が、次の瞬間、相手の筋肉を認めてがっしと握手を交わしている。言葉はなくとも筋肉で友情が芽生えたアツいシーンである。

 彼らは最終決戦にて、アームストロングのピンチにシグが現れるという形で再会を果たした。「友よ!!!」「立て!!!」のやり取りの後、息ぴったりの連携プレーで強敵を倒し、最後にキメ顔で握手をした2人。それにしても、一般人のはずなのに軍人と張れるシグとは、いったい何者なのか。

 ちなみにシグの妻・イズミとアームストロングの姉・オリヴィエも、強すぎる女同士で気が合うらしく、2人で小悪党に鉄拳制裁を下す場面もあった。どちらのコンビも、絶対敵に回したくない。

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