■コミックスではレアな「のび太&ジャイアン&スネ夫」の心温まる友情
いつも意地悪なジャイアンやスネ夫だが、アニメ映画ではのび太の頼もしい仲間となるのは定番の流れだ。だがコミックスの中にも、二人とのび太の確かな友情が感じられるシーンが存在する。
それはコミックス第35巻に収録された「ドラえもんに休日を!!」というエピソード。いつも休みがないドラえもんのために、のび太が丸一日の休日をあげるという内容である。のび太の申し出に大喜びのドラえもんは遠方までハイキングに出かけることになったが、のび太のことが気がかりで「よびつけブザー」という道具を預ける。これを押したら、どこにいてもすぐに駆けつけると伝えていた。
そのブザーのことを知ったジャイアンやスネ夫は、のび太にブザーを使わせようと嫌がらせをするが、のび太は意地でも押さない。その後ものび太はいろんなトラブルに巻きこまれながらも、ブザーを使うのを我慢した。
さらに体格の良い見知らぬ悪ガキに絡まれてしまったのび太は、殴られることを覚悟すると、自ら「よびつけブザー」を破壊。それをこっそり見ていたジャイアンとスネ夫は、のび太の根性に感心する。
するとジャイアンとスネ夫は「のび太、力をかすぜ!」と悪ガキに絡まれているのび太の前に現れ、絶体絶命のピンチから救ったのである。
この二人の活躍もあって、無事ドラえもんに休日をプレゼントできたのび太。序盤は嫌がらせをしていたが、このラストシーンのジャイアンとスネ夫は映画版にも負けないくらい頼もしい仲間に思えた。
読者にさまざまな夢を与えてくれる『ドラえもん』の中には、いろんなかたちの友情や家族愛といったテーマが見え隠れする。映画ではそれが顕著だが、コミックスの中にも随所に描かれているので、大人になってからあらためて読み返してみると新たな発見があるかもしれない。