■「待った!」が原因で人殺し事件

 最後は、コミックス第37巻収録のエピソード「残された声なき証言」に登場した「相馬竜介」だ。これはある日、毛利探偵事務所に人探しの依頼が舞い込むエピソード。ゲーム会社の社員三人からシステムエンジニアの板倉卓という人物が行方不明になったという話を聞き、コナンたちが捜索を開始することになる。

 そこから板倉のいるであろうホテルを訪れると、板倉は既に死んでいて、側に置かれた碁盤には妙な形に碁石が並んでいた。それをヒントにコナンは事件を解決していき、犯人の相馬へとたどり着く。犯人だということを明かされた相馬は事件の真相を素直に話すが、その内容があまりにも理不尽としか言いようがない。

 20年前に相馬と板倉は将棋について熱く語る仲だったそうで、相馬は何年経っても板倉が将棋に対する熱意を失っていないと信じていた。そして相馬は多額の金を投資して自らのゲーム会社を立ち上げ、今までに無い将棋ソフトを作ろうと思い板倉に依頼した……。しかし、板倉は「“待った”は何回がいいと思う?」と相談をしてきたのだ。

 この一言に板倉が将棋に対する情熱を失ったと感じ、相馬が犯行に至ったというワケである。将棋の「待った」は、プロ意識が高い人間からすれば有り得ないかもしれないが、その一言を口にしただけで、20年来のつきあいがある人物をあっさりと殺すのはなかなかの動機だ。「待った」ひとつで友情が崩れてしまった、恐ろしい事件だ。

 コナンに登場する犯人にはそれぞれの事情がある。しかし、中には有り得ない理由で簡単に人を殺してしまうキャラもいるのだ。現在も連載中のコナンの犯人はどんどん増え続けているので、これからもとんでもない理由で殺人を犯すキャラが現れるかもしれない。

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