「ギャップ」は、キャラを魅力的にする要素のひとつだ。“◯◯と思いきや、◯◯だった”という意外性は、いつの時代でもどんなジャンルでも人々をドキッとさせる。今回はそのなかから、少年漫画でよく見る属性“ヘラヘラしてるのに有能な脇役”というテーマで、印象的な3名のキャラについて紹介したい。
■ヘラヘラしているのに最強!『呪術廻戦』五条悟
“ヘラヘラしてるのに有能”といわれれば、芥見下々氏『呪術廻戦』の五条悟を最初に思い浮かべる人は多いのではないだろうか。
彼は主人公・虎杖悠二が通う呪術高専東京校の先生で、日本に4人しか存在しない特級呪術師のひとりだ。呪力の流れを詳細に見られる“六眼”、無限を現実化させる“無下限呪術”をはじめとしたチート級の能力を持っており、「五条悟が生まれて 世界の均衡が変わったんだ!!」と言われるほど、自他ともに認める最強ぶりを見せつけている。
しかしその一方で、性格は超マイペース。周りを振り回すような言動も多く、後輩から「尊敬はしていません」と、バッサリ言い切られてしまったこともある。さらに、態度が大きく敬語も使わないので、上からも嫌われがち。学生時代はもっと生意気で尖っていたため、あのまま大人になっていたらただ強いだけの嫌な奴だったかもしれない。
普段は目隠しをしているが素顔はとてつもないイケメン、軽いノリのわりに短気でキレると怖い、教師なんて柄じゃないと言いつつ生徒想い……などなど、五条はとにかくギャップの塊のような男だ。いろいろな意味で主役級なのだが、強すぎて逆に動かしづらそうなので、脇役におさまっているくらいがちょうどいいのかもしれない。
■軽薄そうに見えて“ヒーロー”に強い思い入れを持つ『僕のヒーローアカデミア』ホークス
続いて紹介するのは、『僕のヒーローアカデミア』に登場するホークス。“剛翼”という個性を持つプロヒーローである。背中に生えた巨大な羽を自由自在に操ることができるうえ、その羽毛は個々が武器になるほどの強度を持つ。飛行しながら戦闘したり、羽が感知する振動で周囲の状況を正確に把握したり、1枚1枚の羽毛で人間を運んだりと、なかなか応用が利く能力の持ち主だ。
まだ22歳という若さのホークスは、基本的にいつもヘラヘラとした態度を崩さない。(ちなみに爆豪が彼につけたあだ名は、“ヘラ鳥”)10代でヒーロービルボードチャート2位に輝いた唯一のヒーローでもあるのだが、本人に出世欲はなく「もうちょい下で自由にやりたい」というのが本心のようだ。さらに、“楽したい”という理由で、ヒーローが暇を持て余す世の中を作りたいと語っていたりもして、いかにもやる気がなさそうに見える。
しかしそんな言動とは裏腹に、ホークスはヒーローとしてずば抜けて優秀だ。街を歩けば談笑する片手間に事件を未然に防ぎ、車に轢かれそうになった犬を助け、羽で老婦人の荷物を運び、さらに写真撮影やサインなどのファンサービスにも気軽に応じる。また、頭脳明晰な一面もあり、潜入捜査もお手のもの。集めた情報を暗号化して仲間に伝えたこともあった。
実はホークスは軽薄な態度でごまかしてはいるが、ヒーローという存在に強い思い入れを持っている。その背景には、普段の彼の姿からは想像できないほどの壮絶な生い立ちがかかわっているのだ。
現在放送中のアニメ6期では、ホークスの過去についても詳しく描かれるのではないかと予想される。彼に対する印象が大きく変わる部分でもあるので、ぜひチェックしてみてほしい。