桜木花道、魚住純らの意外な本音も!? 『SLAM DUNK』井上雄彦氏の遊び心満載! コミックスの“おまけカット”に秘められた魅力の画像
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 連載終了から25年以上が経過した今でも色あせない、井上雄彦氏によるバスケットボールマンガの金字塔『SLAMDUNKスラムダンク)』。2022年12月3日からは待望の新作アニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』の公開も控えている。

 令和になった現在も注目を集める不朽の名作だが、本作の隠された魅力として今回取り上げたいのが、ジャンプコミックスに描かれた“おまけカット”の存在だ。このおまけページは、コミックスの各話の合間に描かれた小さい挿絵のことで、ストーリーにまつわるちょっとした小ネタが箸休め的に盛りこまれていた。

 もしかするとその内容まで詳細に記憶している人は少ないかもしれないが、振り返ってみるとなかなかに興味深い。そこで本記事では、個人的に印象に残っているおまけカットを厳選してご紹介。これをきっかけに記憶の断片にある面白いカットのことを思い出していただければ何よりだ。

■安西先生が倒れ、桜木花道が涙ぐんだ真の理由?

 桜木花道の所属する湘北高校のライバルチームである海南大附属と陵南がインターハイ予選で激闘を繰り広げる中、観戦していた湘北メンバーに安西先生が倒れたという報せが入る。赤木たちがあわてて病院に駆けつけると、そこには涙ぐむ桜木花道の姿が……。

 安西先生の身に何が起こったのかと緊迫するが、実は命には別状がないことが分かるという本編の流れだった。安西先生が倒れたときにそばにいた花道は、実の父親が倒れたときを思い出し、涙を浮かべていたのだろう。

 花道の涙もあって本編は一気にシリアスな空気に包まれたが、ジャンプコミックス17巻にあるおまけカットには、それまで3週にわたって連載に登場しなかった花道が、久しぶりの本編登場を喜んで泣いているというコミカルな姿が描かれている。実はこのおまけカットに至るまでに伏線があり、その前のおまけには、出番がない花道が悲しみと憤りに震える姿が描かれていたのである。

■頼れる陵南キャプテン魚住の本音が面白い?

 インターハイ神奈川県予選の決勝リーグで、湘北と陵南が凌ぎを削る。後半、湘北がリードすると、4ファウルであとがなくなった陵南の主将・魚住純が満を持してコートに戻った。

 追い詰められた魚住はライバル赤木との一騎打ちではなく仲間へのパスを選び、これが見事に得点につながる。いぶし銀の活躍を見せた魚住は「オレはチームの主役じゃなくていい」と心の中でつぶやくが、これは作中でも屈指の名シーンである。

 仲間をサポートし、チームを鼓舞した男気あふれるキャプテン魚住だが、実はその後にあったおまけカットでは面白すぎる本音(?)を吐露していた。

 コミックス20巻の「オレはチームの主役じゃなくていい」というしびれるセリフの直後のおまけカットには、すかさず魚住が「話の主役であれば…」と続けており、花道が「おい」とツッコんでいるコミカルなやりとりがおさめられている。

 緊迫した試合展開が続く中、この緩さでホッと一息つけるのも井上氏らしいサービス精神の表れかもしれない。

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