2022年12月に新作映画『THE FIRST SLAM DUNK』の公開が決定し、話題沸騰中の『SLAM DUNK(スラムダンク)』。90年代『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された言わずと知れたバスケット漫画の名作だ。
舞台が高校バスケ界ということもあり、本作に登場するキャラクターは高校生ばかりなのだが、読み返してみると精神的に落ち着いたキャラクターが多いことに気付かされる。そこで今回は、見た目だけではなく精神的にも大人な魅力溢れるキャラクターについて、紹介したい。
■“桜木軍団”のブレイン! 冷静で懐が大きい「水戸洋平」
『SLAM DUNK』主人公の不良少年・桜木花道は、中学時代からつるんでいる友人数名と“桜木軍団”を組んでいた。桜木軍団は『SLAM DUNK』のなかでも異質な存在で、バスケットボールを題材にした作品であるにもかかわらず、唯一バスケに携わらないキャラクターとして人気を博している。
花道のほか、水戸、高宮、大楠、野間の5人で構成されている桜木軍団は、喧嘩っ早く口が悪いが、バスケの面白さに目覚め真摯に向き合っていく花道をとことん応援する熱い友情を持ち合わせた“イイ奴ら”だ。
そんな桜木軍団のなかでも極めて大きな存在を放っているのが、水戸洋平というキャラクターだろう。水戸はとにかく喧嘩が強く頭が切れる。冷静さと洞察力を持ち合わせている彼は、桜木軍団を支えるブレインとしての役目であり、花道の良き理解者でもあった。
物語序盤、地味な基礎練習ばかりの毎日に業を煮やした花道がバスケ部をやめようとするシーンがある。練習をボイコットしてきた花道に対し、「やっぱし続かなかったな〜」「スグヤメると思ってたぜ」と、野間らメンバーが冷やかすも、水戸はそれには加わらず花道の様子をじっと伺う。
その後「オレちょっと用事思い出した」「いっていいか…」と恥ずかしそうに申し出る花道に、「準備運動にもならなかったな」と“全部お見通し”の表情で送り出す姿は最高だった。
三井が体育館を襲撃してきた事件のときにも、汚れ役を買って出た水戸。いつでも仲間を守り、応援し、やかましい軍団をまとめあげる静かな参謀である彼は、『SLAM DUNK』屈指の懐の大きい男だと言えるだろう。
■努力で勝ち得たメンタルの強さ! 陵南高校キャプテン「魚住純」
202cmの長身の巨体を活かしたダイナミックなプレーをする陵南キャプテン魚住純は、湘北キャプテン赤木剛憲のライバルとしても大きな存在感を見せた。
1年生の頃から「ビッグ・ジュン」という異名がついていた魚住だが、体力もなく、“ただでかいだけ”と陰口を叩かれたこともあった。対してライバルの赤木は弱小校にいながらもテクニックを磨き上げ、県内屈指のセンターへと成長を遂げていく。そんな姿に魚住は悔しさを覚えながら、ゴール下のディフェンスを身につけるためにフットワークの量を増やし、足腰を一から鍛え直すなど努力を続けた。
インターハイをかけた湘北対陵南の試合中、自分は赤木に及ばないと悟った魚住。「オレの負けなのか」「いやそうじゃねぇ」と自問自答し、「うちには点をとれる奴がいる」「オレが30点40点も入れる必要はない オレはチームの主役じゃなくていい」と、達観した考えに至る。
赤木に勝ちたいという“個”の感情を捨て、”チーム”として湘北に勝つことを選んだ彼は、高校生とは到底思えないほどのメンタルの強さの持ち主だと言えるだろう。
ちなみに“将来の夢は板前”という魚住。18歳になったら修行を始めるからと、冬選抜には残らずに板前への道を選ぶ。引き際までも男前でかっこよかった。