第7波が収束に向かうなか、早くも第8波の到来が懸念される新型コロナウイルス感染症。ニュースでは今でも毎日のように新規感染者数が報道されている。
マスクの手放せない生活が続き、他人の顔の下半分が見えない生活になって久しい。もはやそれが当たり前のようになった中、フィクションを描いた漫画やアニメやドラマは現実を少しの間だけ忘れさせてくれる存在だ。だが、いまや漫画の世界の中でも、現実にクロスするかのようにコロナウイルスが描かれたものも少なくない。代表的な例として、鈴ノ木ユウ氏による産科医療マンガ『コウノドリ』がそうだろう。
同作の新シリーズとして2022年4月から10話にわたって集中連載された「新型コロナウイルス編」では、コロナのある世界の中で、主人公の鴻鳥サクラら産科医と、妊婦やその家族とのストーリーが描かれた。
舞台は2020年春、ペルソナ総合医療センターで初めて新型コロナウイルス感染者の妊婦を受け入れたところからストーリーが幕を開ける。2020年は未曾有の事態に世間が混乱している真っ只中。見開きで描かれた人のほとんどいない渋谷のスクランブル交差点の様子は、2022年現在よりもかなり深刻であり、世界中が暗い気持ちになっていた2年前の空気を思い起こさせる。
コロナウイルスに関する全てが初めてのことばかりの医療現場の混乱や葛藤をここまで詳細に描いている漫画は『コウノドリ 新型コロナウイルス編』以上にはないだろう。
同じくコロナを描いた漫画では、清水茜氏による『はたらく細胞』も代表的な例になるだろう。同作は、体内の細胞を擬人化して体の働きを分かりやすく描き、老若男女から圧倒的な支持を集めている漫画。
2021年には厚生労働省とのコラボで「新型コロナウイルス編」と「感染予防編」を音声や効果音の入ったムービングコミックにし、2022年6月まで世界に無料配信していた。このほかにもスピンオフ作品『はたらく細胞イリーガル』や『絵本 はたらく細胞 3 はじめての敵! 新型コロナウイルス』など、どの年代にもわかりやすく楽しめる形でコロナウイルスについて描いている。