■人質に大量虐殺…宇宙世紀を代表する問題の人物?
『機動戦士Zガンダム』に登場するティターンズは、ジオン軍残党の掃討を担う地球連邦軍の特殊部隊。その実態はアースノイド至上主義を唱え、スペースノイドを弾圧し、ときには虐殺すら厭わない偏った主義の集団でもあった。今回紹介するバスク・オムは、そんな特殊部隊ティターンズの最高司令官である。
『Zガンダム』の作中で見られたバスクの問題行動としては、まず『Zガンダム』の第3話「カプセルの中」で人質をとるという卑劣な行為が挙げられる。主人公のカミーユ・ビダンは偶然にも反地球連邦組織エゥーゴに加担。そのためティターンズに協力していたカミーユの母親ヒルダ・ビダンは、バスクによって人質に用いられる。
そのことは部下のエマ・シーンにも伝えられておらず、アーガマとの交渉役を担ったエマは「これは軍隊のやることではありません」とショックを受けていたほど。カミーユの母親はカプセルに入れられ、宇宙空間に投げ出された。
そして母親の救出に向かったカミーユの目の前でカプセルは破壊される。目の前で母親を失ったカミーユは、まだ17歳の少年。バスクのとった作戦は、あまりにも無慈悲で残虐な行為と言えるだろう。
ほかにもさまざまな非道な作戦を行ってきたバスクだが、第41話「目覚め」では部下のレコア・ロンドに毒ガスを使用した虐殺を指示。過去の作戦においてもバスクは毒ガスを使用した大量虐殺を指示しており、1500万人もの住人の命を奪っていた。
その上でバスクは「我々は人殺しの集団ではない。一刻も早い平和を願っていることを忘れんでな」と正当化していたのが恐ろしい……。
ガンダムシリーズは、戦争や軍隊を描いた作品だけあって、さまざまな問題行動が見受けられる。それに、まだ子どもである主人公の突発的な行動も、軍という組織を考えたら重大な軍機違反になりかねないのだ。また、そういう問題行動も、陣営や視点が変われば、また別の見方ができたりするのも、ガンダム作品の考えさせられる部分かもしれない。