少年漫画の主人公や、その仲間たちが戦うときに使用する武器やサポートアイテム。それらを生み出す天才発明家は、たとえ前線で活躍しないとしても“縁の下の力持ち”として、なくてはならない存在だといえるだろう。
そんな発明家キャラは、誰もが憧れるようなかっこいい発明品だけではなく、常人には理解しがたい謎アイテムを作ることもある。そこで今回は、天才発明家キャラによって生み出された“しょうもない発明品”のなかから、とくに印象的だったものを3つ紹介していく。天才発明家たちの遊び心(!?)をぜひ感じてみてほしい。
■スピンオフにも登場!『名探偵コナン』の「弁当型携帯FAX」
青山剛昌氏の国民的漫画『名探偵コナン』にとって、発明品は重要な存在だ。蝶ネクタイ型変声機に腕時計型麻酔銃、キック力増強シューズなど、小学校一年生の姿になってしまったコナンが事件を解決するために欠かせないアイテムは数多い。そして、それらを作っているのは彼の協力者である発明家・阿笠博士である。
前述したようなチートレベルで役に立つアイテムを次々と生み出してきた阿笠博士だが、ときには、くだらない物を発明することも。とくに印象的だったのが「弁当型携帯FAX」。原作コミックス第7巻から8巻の「プロサッカー選手脅迫事件」で登場した脱力系アイテムだ。
このアイテムは弁当箱に市販のFAXが取り付けられただけの代物で、ごはんの上の梅干しを押すと起動する謎仕様。さらに、おかずはすべて本物(そして美味しそう)。コナンには「なに考えてんだあのジジィ…?」とドン引きされていた。
ちなみにこの弁当型携帯FAXは、かんばまゆこ氏によるスピンオフ作品『犯人の犯沢さん』の第1巻にも登場しているが、キック力増強シューズを用いたコナンに思い切り蹴られて犯人にぶつけられるという、なんともかわいそうな扱いを受けていた。後に弁当型スマホという進化版も出てくるが、こちらもイマイチ実用性には乏しい……。
■意外と役に立つ……?『ゴールデンカムイ』の「お箸入れ付き義手」
アニメ4期の放送を控える野田サトル氏『ゴールデンカムイ』には、思わず「それ必要なの?」と言いたくなる“オプション付きの義手”が登場する。その義手が初登場したのは、原作コミックス第15巻。
第七師団に所属し、主人公の杉元に強い憎悪を持つ二階堂浩平は、彼に復讐することを目的に生きてきた。痛みを和らげるために使っているモルヒネと精神衰弱のせいで幼児退行しているのがデフォルトで、コミカルと切なさを併せ持つキャラクターである。
二階堂は杉元と交戦して右手を失った後、入院中に「杉元が死んだ」というデマを聞かされてすっかりふさぎこんでしまい、まるで拗ねた子どものように食事もろくに摂らず、布団をかぶって丸まってばかりいた。
そんな彼のために天才銃器開発者・有坂中将が作ったのが、“新しい手(義手)”だ。「素晴らしい手じゃないか!!」と上官である鶴見中尉の言葉につられ、布団から頭をのぞかせる二階堂。すると鶴見中尉と有坂中将はダメ押しで、「この義手はただの義手ではないのですよね?」「もちろん仕掛けがあるよッ」と、やり取りをしてみせる。
興味津々で布団からぬるぬる出てくる二階堂。しかし、その仕掛けはというと、なんと“中指の関節がお箸入れになっている”というものだった……。一瞬で二階堂が布団のなかに逆戻りしてしまったのは言うまでもない。
しかしこの義手のお箸入れ、のちにまさかの活躍をし、二階堂も「おはし役に立った」と認めている。最終決戦でもしっかり活躍を見せているので、単に“しょうもない”とは言い切れないかもしれない。どんな発明品も使い方次第ということだろう。