■面倒見のいい兄貴肌! 隊のムードメーカー「松左」

 最後は、古参隊員の中から「松左」を紹介したい。松左は副歩兵長で、おもに歩兵の指揮を担っており、槍の使い手でもある。

 血気盛んな飛信隊の古参隊員の中では珍しく面倒見のいい兄貴肌で、飄々とした空気を纏い、場を和ませるムードメーカー。また、状況判断力も高く、ときにアツくなりすぎている信に助言し、クールダウンさせるシーンも。

 信に対しては深い尊敬の念を抱いており、入隊してきた干斗ら新兵たちの前でこれまでの信の活躍を伝える際、「誰よりもかっこいいんだよなー 信って男は」と誇らしげに酒を飲みつつ話す姿が印象的だった。

 朱海平原での戦いでは、戦況を見極める広い視野を持つことが評価され、軍師の河了貂から直々に歩兵の救援判断を任された松左だったが、新入りの干斗を助けるためにある行動をとってしまう。その“いぶし銀”な行動に涙した読者は少なくないだろう。

 

 信率いる「飛信隊」ではズバ抜けた戦闘力を持つ羌瘣、新戦力の蒼兄弟のように派手な武功を挙げるケースは稀だ。しかし、目立ちこそしないが実力や魅力のある、”いぶし銀”な人物はたくさん登場している。

 たびたび”漢気”を見せる「渕副長」や、最後まで信を守り抜く「尾到」など、機会があればまだまだ紹介したいバイプレイヤーたち。そういった名脇役の言動に注目して読んでみると、『キングダム』の新たな魅力が発見できるかもしれない。

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