■ジャイアンの父もレアキャラ?
“ジャイアン”こと剛田武の家庭は、妹のジャイ子と両親の4人家族。少女漫画家を夢見るジャイ子と、剛田商店を営む肝っ玉母ちゃんはアニメにも頻繁に登場するが、なぜかお父さんの出番は少ない。
そんなジャイアンのお父さんの原作漫画の初登場はコミックスの第1巻「走れ!ウマタケ」の回だ。タケウマが乗れないのび太のために、ドラえもんが出したひみつ道具の「ウマタケ」。だが、このウマタケは気性が荒く、機嫌を損ねたら大暴れ。
のび太の家を脱走したウマタケを確保したのがジャイアンだった。しかし、ウマタケは案の定、ジャイアンの家でも暴れ回る。そのとき剛田家で激怒していたのがジャイアンの父親である。
ほかにもちょこちょこ登場してはいたが、第22巻収録の「無事故でけがをした話」を最後に、ジャイアンの父は見かけなくなった。ジャイアンの“母ちゃん”の印象が強いので、テレビアニメしか見てない人は母子家庭だと勘違いしているかも?
■おばあちゃんだけじゃない! のび太の父方の祖父「野比のびる」
のび太と言えば大のおばあちゃん子で、コミックス4巻に収録された「おばあちゃんのおもいで」の回は、屈指の感動エピソードとして知られる。しかし、のび太の祖母だけでなく、祖父が登場する回も存在する。
最初に登場するのは第14巻の「夢まくらのおじいさん」の回だ。その中でドラえもんとのび太は、生前のおじいさんにタイムマシンで会いに行く。のび助(のび太のパパ)に厳しく当たる祖父の姿を見て、のび太とドラえもんは「おにじじいだ!」と憤慨するが、実はおじいさんはとても優しい人物。
息子・のび助の前では厳格な姿を崩さないが、裏では息子に食べ物を優先的にあげたり、妻(のび太の祖母)を通じてお小遣いをこっそりあげたりしていた。そして未来から来たのび太のこともすぐに孫だと信じ、可愛がるシーンが描かれている。
このほかにも、のび太のおじいさんは何度か登場。すでに他界しているので出番自体は少ないが、もし存命なら孫に甘いおじいさんとして描かれていたかもしれない。
今でこそ『ドラえもん』の主要キャラが確立しているが、漫画が連載されていた当時は藤子先生もいろいろと手探り状態だったはず。そんな中で、うっかり存在を忘れられたスネツグのようにレアキャラ化していった人物もいたのだろう。あらためて原作コミックスを読み返してみると、アニメとはまた違った雰囲気を味わえるので面白い。