■サブヒロインが一躍人気主人公へ飛躍『とある科学の超電子砲』

 続いて紹介するのは、アニメにもなったラノベ『とある魔術の禁書目録』からのスピンオフ『とある科学の超電磁砲』だ。

『とある魔術の禁書目録』は鎌池和馬氏による人気ライトノベルで、3期にわたってテレビアニメ化されている。そのスピンオフとして生まれた外伝『とある科学の超電磁砲』は、『禁書目録』に登場するヒロインの1人・御坂美琴を主人公として描かれた作品である。

 この『超電磁砲』では美琴というキャラの魅力と、本家の主人公・上条当麻を巡って巻き起こる恋のエピソードなどがかみ合い、こちらも人気が爆発。美琴の同級生との絡みや、能力者同士のバトルなど、見どころも多い。このスピンオフもテレビアニメ化されると、本家『禁書目録』と同様に現在3期まで放送されている。

 登場するキャラの能力や個性、科学サイドから見るストーリー展開はかなり好評で、本家を凌ぐほどの人気を得たスピンオフ作品と言えるかもしれない。

■スピンオフ作品からメイン作品に昇格?『桃太郎電鉄

 最後は漫画やアニメではなく、ゲームを代表するスピンオフ作品をご紹介。もともとはハドソンから発売され、現在はコナミの作品として進化を続けている『桃太郎電鉄』だ。

“桃鉄”の愛称で知られる『桃太郎電鉄』シリーズは、ファミコン世代の方なら分かると思うが、実はファミコンで発売された『桃太郎伝説』から派生したスピンオフ作品。この本家『桃太郎伝説』は、おとぎ話をモチーフにした純粋なRPGだった。

 そして、そこから生まれた『桃太郎電鉄』は、ご存知のとおりRPGではなくサイコロを振って目的地を目指す、すごろく的なボードゲーム。本家とはまったく異なる斬新なゲーム内容で人気を博していく。

 初期の『桃鉄』は競争要素が薄く、進行を邪魔する貧乏神なども登場しなかったが、第2作目となる『スーパー桃太郎電鉄』から対戦要素が強化。その後のシリーズ作品には「キングボンビー」や多彩なイベントやカードなどが追加されていき、現在まで続く『桃太郎電鉄』が出来上がっていった。

『桃鉄』シリーズの最新作は、2020年に発売された23作目となる『桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!?』(Nintendo Switch)が発売。こちらは350万本を売り上げ、シリーズ最大のヒットを記録した。

 一方、スピンオフ元の本家『桃太郎伝説』は、2011年に『桃太郎伝説モバイル』がリリースされて以降音沙汰なし。もはや『桃太郎電鉄』が主役になり変わったと言っても過言ではない!?


 スピンオフ作品が生まれる背景には、本家にあたる作品のヒットなくしてはあり得ない。そこに作り手の遊び心や、世界観、キャラクターに対する愛がプラスされることで、ファンも喜ぶ面白いものに仕上がるのだろう。現在も人気作品はいろんなスピンオフが作られる傾向にあるので、これからも本家を凌ぐ人気作品が誕生することに期待したい。

  1. 1
  2. 2
全ての写真を見る