ガンダムシリーズの新作テレビアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』が、10月2日から放送される。同作は女性主人公であることや、「YOASOBI」が主題歌を担当することなど、さまざまな面で話題と注目を集めている。
そんなガンダム作品の元祖が、テレビアニメ『機動戦士ガンダム』だ。同作の主人公アムロ・レイのライバルといえば、シャア・アズナブルやランバ・ラルといった名前が真っ先に挙がるだろうが、実は彼ら以外にもアムロを苦しめた機体やパイロットは何人もいる。
そこで今回はそれほど有名ではないが、もしかするとアムロを倒せたかもしれないジオンの機体とパイロットを紹介したい。
■本当に勝てる寸前だった宇宙用モビルアーマー「ビグロ」
ジオン軍が宇宙戦用に投入した最初のモビルアーマー(MA)、ビグロ。どことなく鳥を思わせるフォルムを持つ機体で機動性が高く、胴体の両側から伸びるクローアームでの格闘戦も可能な機体だ。
第31話「ザンジバル、追撃!」にて、トクワン大尉が乗り込んだビグロは、その機動性を活かしてセイラのGブル・イージーとアムロのGスカイを圧倒。駆けつけたカイのガンキャノンの援護を受けてガンダムに換装したアムロは、ビグロとの一騎討ちに臨む。
すると高速で飛行するビグロの下部に偶然ガンダムの腕部が引っかかってしまう。そのまま高速移動を続けたビグロが生み出す強烈なG(加速度)により、アムロはコクピット内で気絶した。
当初トクワンは「付属物がついたぞ。まさかガンダムが…」と機体に何かがついたことに気づきながらも即座に攻撃せず。その後クローアームを伸ばしてガンダムを捉え、メガ粒子砲を発射しようとするも、一瞬早く目を覚ましたアムロは攻撃を回避。逆にメガ粒子砲の発射口をビーム・ライフルで撃ち抜かれ、ビグロは撃破されてしまった。
ビグロに引っかかったのがガンダムならパイロットは気絶すると分かっていながら、攻撃の手が一瞬遅れてしまったトクワン。そのわずかな差でガンダム撃破という大殊勲の機会を永遠に失ってしまった……。
■個性的な見た目だけの機体じゃない!? 結構惜しかったザクレロの奮闘
前出のビグロに先駆けて開発されていたジオン軍の宇宙戦用MA・ザクレロ。高速移動してからの拡散ビーム砲(拡散メガ粒子砲と書かれた資料もある)、または近接武器のヒート・ナタを用いた一撃離脱戦法が想定されていた機体だが欠点も多く、開発途中に放棄されたという経緯がある。
第32話「強行突破作戦」では、そのザクレロのテストパイロットだったデミトリー曹長がビグロのパイロットだった上官トクワンの敵討ちのため、シャアの命令を無視して無断で出撃した。
ザクレロの高い機動性を活かし、ハヤトが乗るガンタンクの胴体にヒート・ナタでダメージを与える。さらにデミトリーは駆けつけたアムロが乗るMAモードのガンダムのビーム・ライフルをなぜか弾き、すれ違いざまにヒート・ナタで切りつけてガンダムの肘関節部分のヒンジの破壊にも成功する。
結局ガンダムのビーム・サーベルによってエンジンを貫かれ、ザクレロは爆発四散。しかし、デミトリーの腕が良かったのか、ザクレロとの相性が良いのか、連邦のガンタンク、ガンダムと連戦しながら的確に攻撃を当てていたのはお見事と言わざるをえない。
戦闘後にアムロが「こちらのコンピューターで簡単に動きが読めた。一体どういうつもりで……」とつぶやいたように、機体としてのザクレロの不完全さは否めず。もし欠点が改善されていた機体だったらガンダムと互角以上に戦えていたかも……などと思ってしまう素晴らしい奮闘ぶりだった。